国際チェロコングレスでは、アマチュアのためのクリニックと、プロを目指す人のためのマスタークラスの公開レッスンがたくさん用意されていました。今回はその中から、ビブラートに関してのみのつまみ食いレポートです。
マスタークラスのレッスンでは、しばしば音色の変化、ビブラートは何のためかについてがテーマになっていました。(アマチュアの場合、しばしば、ビブラートをうっかり止めないようにと(これは技術的欠陥)注意されていました。)
以下あいまいな記憶に頼っているので、ご本人が言ったのと違うことを書くかもしれませんが、ともかく。
グリーンハウス氏・・・クリニックにて。常に美しいビブラートをまんべんなくかけていると、そりゃおいしいかもしれないが、毎食ごちそうばかり食べているようなものだ。フレーズの中で何が大切かと言うことの中でどういうビブラートがどこに必要か考える・・・・とかなんとか
ベートーベンのソナタ第3番のマスタークラスでは、ビブラートを切らないでレガートで続けることを強調、一方、ビブラートをコントロールするために体をリラックスするように注意していました。
倉田澄子氏・・・クリニックにて。絵を描く絵の具のようにたくさんの音色を使い分ける方法。アクセントの基本は大きく3つ。弓の位置(コマからの距離)、弓の圧力、そして、ビブラート。ビブラートの方法も、細かく、大きく、さらに弓の位置だけでも変えられる(といって一弓の中で、駒に近づけたり離したりして変化させて見せました!)
もっと大切で基本的なことは、その曲の中で自分がどんな音が欲しいのか探し求めるという姿勢。そして、そのためのテクニックを研究する。
斉藤建寛氏・・・バッハのマスタークラスレッスンの中で。バッハがこの組曲の中で試みたことは2つ。旋律楽器の中での和声とポリフォニー。そこで、暗示されているものを意識して演奏する。(コードの意識の中では、コードのベースの響きが残るような運指を考える云々)。その中で、ビブラートが必要なところを意識する。これは、フィリップ・ミューレル氏も同様に言っていました。
藤原真理氏・・・ショスタコービッチのチェロソナタのマスタークラスにて。ショスタコービッチのおかれていた社会的状況、個人的心理状態を想像することの大切さを強調した後、ビブラートをかけ過ぎると音が明るくなり過ぎる。そんなに明るい音楽だろうか・・・また、ビブラートなしで練習してみると、自分のボーイングの欠陥がはっきりすることもある。運弓が速くなり過ぎるとか音量の変化が出てしまうとか・・・どの音にテヌートが欲しいかでビブラートを考える、常に多方面から考察してみる・・・
コメント