小樽には4年近く住んでいました。こんなにすばらしい町はないと思います。今、この写真のあたりはすっかり開発されてモダンなホテルやレトロ風のショップなどが建ち並ぶ観光の中心地区。当時、この使われなくなった運河も全面道路にするとか、片側だけ道路にするとか議論がありました。結局、札幌から途中までが道路になり残りは観光スポットとして開発することになったようです。つぶしてしまうよりはましな案ですね。でも、何を観光するのか知りませんが、昔の面影はすっかりなくなってしまっています。運河と古い倉庫、漁船が浮かび、雑草の生い茂る、そんな寂れた印象が良かったんですけど・・日本全国どこに行っても、東京の渋谷や新宿、原宿あたりでできるしゃれたカフェや、レトロ(風)なホテルなんかみて、どこにでもあるオルゴール買ったり、綺麗に飾った料理を食べて・・それで何が観光なんだろうか・・小樽という歴史のある町で何を観てもらうのか、きっと都会のデザイナーが「活性化」の名の下に、金取り施設満載の一種の作り物のテーマパークを勝手に描いたのだろうがセンスがおかしい。というか熱海の錦ヶ浦が象徴的だけど、観るべき所に観るべきでない建物を作る、見るところがとても見られたモノじゃない、(=これを環境破壊という)、これが日本の特徴かも。この商業主義、エゴ丸出しの後進国のセンス、なんとかならないか・・・。
日本の古都を訪ねるとそこに息づく日本の文化を多少なりとも味わうことになります。日本人の死生観があちこちに表れています。観光って、光を観ると書きます。光を観るとは同時に暗闇も観ることです。滅びていくモノ、移ろうモノ、諸行無常・・そんな陰の部分を消し去り(死を忘れた)軽薄な文化が現代の日本を覆っている・・と思うのは、歳をとったせいでしょうか。
そんな運河のもう1枚。倉庫の屋根の甍が立派です。ニシン漁や石炭の積み出し、北方交易などで繁栄を極めた当時の小樽が偲ばれます。今となっては貴重な映像かも・・
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