蕪村は、ご存じの通り、江戸中期の俳人であり、池大雅にならぶ南画の大家?でもある。美術雑誌から切り抜いたものを長く持っていたのだが、なくしてしまい、長らく忘れていた。
この絵は日本人なら誰が見てもきっと心が和む心象風景だろうと思う。17.5cm四方の小さな作品だが、柔らかく細やかな筆遣い、山に分け入る曲がった小道(「宜春」にも川沿いの曲がった小道が描かれている)、この柔らかな曲線、これが大和心というものか・・。冬枯れの林だがそれでも寒い風を防いでくれる、ちいさな芽も葺いてやがて梅の花も咲くだろう・・
蕪村の絵は 川端康成が大いに気に入って、家を買うよりこの絵だということでこの「十宜」も購入してしまった。国宝となっているこの絵は、現在川端康成記念館の所蔵であるが、一般公開していない。だから、実際の絵を見ることができない。集英社の大きな本も購入してみたが、他の絵はあるのにこの「宜冬」は掲載されていない。悔しいので、「宜春」の掛け軸は購入してしまったが、でもやっぱりこの「宜冬」がほしい。
もし、どこかでこの複製画の良いのを見つけたら是非お教えください。
今の日本人は、こうした大和心、柔らかで穏やかな気持ちを失いつつあるようだ。物事を杓子定規にとらえ、かたくななに自己の権利を主張する・・でも、功利的に何をどう考えるかより、心をどう整えるかということの方が大事、心の中に暖める風景はどんなものか、そもそもそんなものがあるのか・・・
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