被災地では,まだ食料も燃料も水も・・あらゆるものが不足しているでしょう。しかし、少しでも余裕が出来てきたら、芸術・・とまで言わなくても文化的な事が役に立つと思います。
私は音楽や何かが人に力を与えるとか,励まされるとか・・そういうことは分かりません。そういう体験は残念ながらしたことがないからです。ただ、日常に縛られ,苦しいことに釘付けになっている全感覚を一時開放出来れば、それは思った以上に大きな効果があるだろうと思います。
一般に芸術や音楽やらは単なる気晴らしの娯楽だ、と言う人もいます。正しいようで正しくない。一時的な気晴らし(ジェットコースターに乗ってスリルを味わったり,お笑い芸人でくすぐられたり・・・)もあるでしょうが、芸術の与える気晴らしは,刹那的なものではなく、現実の世界とは異なる次元でその人の感性や姿勢を変化させるものです。つまり、芸術の力とは,外から人に力を与えたり励ましたりするものではなくて(応援歌じゃない)、その人の内側からその人を変えていく力だと思います。
「夜と霧」には幾つもの驚愕すべき事実が書かれていますが、もっとも感動的なシーン、辛い強制労働の一時の休み時間に、美しい夕焼けが現れ、疲れ切った仲間にもそれを見ろと伝え合い、みんなで,ただ呆然とその美しい夕焼けをみていた,と言うのです。・・・美しいものは人を励ますのか何か役に立つのか,それは知りませんが、理屈抜きで人間はそういうものを求めるように作られているとしか言えません。芸術とかそんなものは余裕のある人のお飾り的なものなのか、そうではなく本質的なものなのか・・まさに 人はパンのみにて生くるに非ず。
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