望年会の2次会で,ある人から「goshuさんて優しい美しい音楽が好きなんですね。それを美しく演奏しようとする」そりゃそうだなぁ。チェロらしい音、って言っても一般的にどんな音なのかよく分かりませんが、前から好きな音は、フランスのチェリスト・フルニエの音。どっちかというとバイオリン系ではなく、ファゴットのような上質な木管楽器の音に近い。
上質な木管楽器のように、キラキラキンキンするところはなく、どこか素朴で、品があって静けさをたたえているような音。どんな音楽どんな音が好きかというと、ノスタルジーを感じる音。遙か遠い魂の故郷へのはかない憧れ、これが音楽だ。チェロという楽器のもっとも素晴らしい音はそういうものでなくては、と思っている。
ドイツの詩人リルケにしょっちゅう手紙を書き送った詩人志望の青年がいて,リルケは旅先から丁寧に返事を書き続けた。あるとき(なかなか世間で認められないので)自分は詩人になれるかどうかと聞いてくるその青年に対して厳粛にこう書き送る。
「あなたの夜のもっとも静かなる時に、自分が本当に詩を書かずにはいられないかどうか考えてご覧なさい」
「あなたの夜のもっとも静かなるときに」心が何を語るか。それを聞こうとしなければ,限りなく間違った道を歩むことになる。難曲や有名曲を弾くとかでなく、下手だろうが何だろうが、チェロを弾く以上求める音があり、心の中の自分の音を出すこと以上に大切な事があるとは思えない。音を探求しなければ楽器をやる意味がないと思う・・音色は,その人の人格・思想そのものである、とあるバイオリニストが言っていた。
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