今年も恒例の「チェロの日」が2月9日から3日間サントリーホールブルーローズで開催された。
最後はプロアマチュア混合で、ビラロボスのブラジル風バッハ第1番などチェロオーケストラの演奏があり、この日のために、何度練習したことか。
今回は小学生や中学生などの天才少年少女も参加のイベントだったので、これもものすごく楽しかった。顔見知りの子やそのお母さん方とも沢山お会いできお話しできてそれもとても楽しかった。
では、忘れないための自分のメモも兼ねて印象に残ったことを書き記しておこう。(大体このブログはそういうもの)
1)チェロオーケストラの練習時間で、山本祐ノ介先生の言葉
(素早く移弦する必要のあるパッセージで)・・プロや上手な人達とは、勿論技術的にうまいということもあるけれど、難しい所を簡単に弾く工夫をしている 。・・先読みして準備すること。次にA線のシを弾く時は、D線を弾きながら肘を上げて次の音の準備をする・・そういうことでとても楽に弾ける。準備が大切。
(セカンドワルツ)揺れてください、揺れて!
( テレマン)水の上で揺れるようにスイングを止めない
(演奏姿勢)指揮を見る事、視界に入れていること。楽譜ばかり見てうつむかない。下ばかり見ていると音も暗くなるし見た目も良くない。にこやかに・・
2)楽器に関するセミナーで
(中澤宗幸氏)上手な人が弾くと楽器が何故か良い音になる。・・・楽器作りは精度が問題なので良い楽器は見た目も美しい、見て美しいかどうかが肝心 厚みや大きさのバランス・・・多くの人の思いが込められて楽器がここにある・・・震災の流木からバイオリンを作った話をされたときは,数人の方が涙を流して聞いていた。・・楽器作りの話は勉強になると言うより,楽器を弾くことの広がりを発見する機会となった。・・
(ヤマハの方)・・弓のメンテナンス。松ヤニは硬い粉で、付けすぎると弦上で弓が上下に滑って一点で弾けないので良い音がしない、音が良くないと又松ヤニをつけると悪循環。松ヤニの適度な量、松ヤニをつけてから、親指で毛の元の部分を捌いて余分な粉を落とす、落ちた分は余計な分。弓についた松ヤニはアルコール綿で軽く拭き取るとよい。ただし、楽器についた松ヤニはアルコールで拭くとニスがとれてしまうので、絶対にやっては駄目。必要なら職人にクリーニングしてもらう事。
楽器のメンテナンス。駒がまっすぐ直角に立っているかいつも確認する事。弦を交換するときは、A線を交換するときも、C線も緩めてバランスをとるようにすると良い。A線だけを外したままだと圧力がC線側からA線側に掛かるので、駒が移動しやすい。楽器は、乾湿に敏感だが、湿度が高ければ〔水溶性の)にかわが溶けて剥がれが起きる場合がある。しかし、問題なのは、乾燥の方で、楽器が割れる場合がある。ケースの中にしまっておけば影響を少なく出来る。そもそも人間が快適な環境の下におくこと。
ハードケースは、カーボンなどの軽量なものが普及しているが信用しすぎないこと。どこかにぶつけてもケースは頑丈だが楽器だけが壊れることがある。・・
3)堤、堀、倉田各先生による座談会(?)
ぼけとツッコミありの何とも楽しいお話しでした。色んな裏話が聞けて、もっと聴いていたい感じ。・・これと言って記憶に残ってないけど・・(^^;) 何の話だっけ・・そういえば、演奏中に弦を切った話と言うのがあった。倉田先生が学生時代のコンクールで演奏中 G線が切れてしまい、換えたけれど新品のガット弦だったため狂ってどうにもならなかった、それ以降、新しい弦と古い弦をいつも用意している・・堤先生もそうしているとのこと。
とりあえずここまで(つづく)
個人的感想〔この3日間で気がついたこと、確認したこと・・)・・演奏が上手に出来るかどうかは、どれだけ音楽を理解し演奏するかと言うこと、自信を持つこと、周りを信頼すること・・等技術とは別のことに大きく左右される。それは、演奏者だけでなく、その準備をしてきたスタッフや、当日の聴衆等関わる皆で作り上げるものだ。小さな事でクレームをつける人種もいたりする昨今だが、今回はそんな人はいなかったと信じたい。(世の中に,当たり前、当然のことなど1つもない。感謝と喜びがあればクレームなんか思いつかないものだ。) 聴きに来ていた某チェリストと終演後お話ししたら「とても温かいものを感じた。聴きに来て良かった」と言っていたのが印象的。 その多くは、堤先生や山崎先生、指揮の山本裕ノ介先生らの人徳と音楽性によって、多くの人が感化されたからだろう。それこそ、まさしく、この「チェロの日」の集いの一番大きな目的なのだ。このチェロによって作り出す心情(こころね)と人の輪を、アジアに世界に向かって広げていこうというと言うことになっている、道は遠いがそうなれば素晴らしい事だ。
とりあえずここまで(つづく)
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