楽器とか新しい弦とかを試すときに、試し弾きに使う楽譜はいろいろ,大概は今練習しているよく知っている曲を弾いたりするけど,低音弦がどんな風に鳴るかを調べるのに使うのは、このベートーベンの「モーツァルトの主題による7つの変奏曲」の第4変奏曲。
これがちゃんと深い潤いのある音で鳴ってくれないといけない。
経験も少ないし鑑定家でもないから、客観的に調べるということはできないので、自分の好きな曲が自分好みの音で弾けるかどうかということしか判断材料がないし、逆にこれは良い楽器だとか言われても,弾くのは私だから,何とも仕方ない。
それに比べると弓は「性能」が大事なので,割と客観的に良いものは良いといえるのだろう。弓の善し悪しのほとんどは材料によるらしく、見れば分かることがほとんどという。フェルナンブコを使っていること、材の繊維の方向にまっすぐ作られていること,節はないこと・・細かな仕上げの具合・・とか見るだけでもいろいろあるらしい。近年熱帯雨林が乱開発されて,フェルナンブコ材は絶滅の危機にあるらしく,良い材は高値で買い占められているらしい。古い良い楽器も希少価値だが,弓もだんだん稀少となり高価になっていく。だから良いものがあったらさっさと買うべき,とのこと。
ところで、ペグもフェルナンブコ製のものがあってこれが良いらしい。エンドピンもあるが、15万円くらいして、とても買う気にはならない(^_^) それにしても,昔は知らなかったが、楽器はどんな部分でも音に関係しないところはなく、それは、何か不具合、故障などがあったときに,えっ、こんなところのせいでこうなっちゃうの?ということが分かったりする。知らない人はエンドピンで音が変わるなんて信じないけど、テールピースについているナイロンや鉄のコードをカーボンファイバー製にしたら音がよくなる。「良い」「悪い」の判断は,その人の閾値の幅で決まるから,気にならない人は気にならない,知らない人は知らない,聞こえない人には聞こえない。
これはいろいろ難しい問題があって、たとえばオーディオマニアは、スピーカーやアンプじゃなくて、スピーカーケーブルを変えたら音が変わったとか,電源タップや電源コードでも変わるし、接点に接点復活材をかけるとか、音が変わる変数は無限にある,そしてそれを聞き分けることができる。ただし、私なんかは,分かったとしてもそのときだけで,1時間もすればもう慣れて分からなくなるだろう。それにそんなことにお金を掛けたり,神経を使ったりそんなことばかり気にすると何をやっているのか分からなくなる(^_^) 音楽を聴くのにそんなことが必要か・・・というわけで、私のオーディオはスピーカーを除いて見た目重視。アンプは英国製QUAD34+306、CDプレイヤーは古き良きMarantz CD- 23DAというファン垂涎のものだ(^_^)
慣れということともう1つ、音の差はどうやって生まれるかということ。ストラディバリウスとかいわゆる名器といわれるものと新作楽器とを,ブラインドで、舞台上で名人に弾いてもらって聞き分けると言うことは昔から行われていて、結果は、差は分からないと言うことに落ち着く。確かに音の差は判別しがたいらしい。では、音楽はどうか。これが問題で、客席で聞いていても分からないかもしれないが演奏者には,その楽器の音色やニュアンスの差が分かっている。それで、自分の気に入った良い楽器を弾いていると細かなニュアンスを感じ取って相乗効果で思いを込めることができるし,演奏そのものが別物になるだろう。それに楽器に対するリスペクトもあるから技量も向上するはずだ。短期間なら遊びやテストのために安物楽器を使っても良い音が出せるだろうが,自分の演奏会では使うことはないだろう。
逆に言えば、たとえ私の楽器がものすごく良い楽器でなくてもそこそこの素性であって、長年愛着を持って管理調整して,良いところも悪いところも知り尽くしていたら、他人の楽器を弾くより遙かに音楽的に弾けるだろうと言うこと。
それにしても、楽器は性能と言うより音色だ。楽器固有の音色もあるだろうが、弾き手との相性によって大きく変わる。何より、こんな音が出したいという思いが多くのことを決定している。
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