明日のゲネプロ(本番はこの17日の弦楽アンサンブル)に備え、チェンバロの予備調律をしていたら、動作のおかしなキーが2つある。1本は爪の出をドライバーで調整して何とかなったが、1本は分解して色々いじってみたがどうにもならない。で、察するにワイヤー式の爪の押さえバネが弱っているようなのだ。でも、もう時間がないから修理に出している時間はない。そこで、赤い絹糸を巻いて補強してみた。これで何とかなりそう。
チェンバロはピアノと違って機械的な部分が少なく、音を出す構造はシンプルである。おもりのついた爪のスティックを持ち上げて、その時弦をはじいて音を出す。おもりで下がってくるが、爪の後ろについたバネで爪を元の位置に戻す。上に上がるときは弦をはじくが、下がってくるときは、又引っかかって音が鳴ったりしないように、フェルトで押さえる仕掛けだ。問題は、爪の出の長さと、おもりの重さとバネの力が微妙にバランスを取っていないと、上がったけれど下がらない、とか、引っかかりが小さくて音が小さくなるとか・微調整が必要だ。昔は、爪はカラスの羽から作ったらしく、へたることと湿度の影響を受けやすかったようだ。今は、プラスティックである。初めて弾いたとき、指先に響きが伝わってきて、いかにも楽器だ。ピアノとは違う皮膚感覚、自分と音とがつながっているのを感じて感動したものだ。
チェンバロは黒鍵と白鍵がピアノと逆である。これは、お姫様の白くて細いきれいな指が黒鍵の上で映えるようにということでそうなった・・・らしい。・・・言うまでもないが、チェロの指板は黒いけど、そういうわけではない。けれど、黒くしようというよりは、黒檀が材として機能的だということ。硬くて適度に水分を吸収する、でないと、指が指板でべたべたするし、スムーズに滑らせることができない。うんと安いチェロだと黒檀なんか使わないから黒い塗装をしていたりする。ちなみに、何でも資源が枯渇する世の中だが、この黒檀も例外でなく、真っ黒な黒檀はなかなか手に入り辛く高価になっているらしい。
コメント