数年前に、サブ弓としてアメリカのCODA Bowと言うのをネットで海外から購入。グレードは中の上というところか、DIAMOND SXというもの。日本では9〜12万位で販売されている。この上にGXというのがあるが、一長一短のようだ。そもそもは、小学校などでの演奏会で子供達に楽器を体験してもらうコーナーがあるのだが、わーっとやってきて次々と弾くので、落としても叩いても折れないものとして購入(^^;) さてその使い勝手だが・・
さて、購入初期は、第一印象、結構良い(特に問題を感じない)、ただ、メインで使っている中国製の鼈甲弓と比べると、音色がおもしろくない。発音はハッキリしているしバランスも良くて弾きやすいが、メインの方が倍音が豊かでふくよかな音色であるのに比べると無機質というか、つまらない、と言うより特に魅力を感じない。勿論、これは比較して弾いている本人の微妙な感触の話で、他人が聴けばちゃんと良い音色(腕の問題)では鳴っていると思う。
と言うわけで、その後余り弾く事もなかったが、最近、オケの練習など環境の良くない(時に危険な)場所で弾くときに時々カーボン弓を使っているうち、慣れてきたのか、なかなか悪くないと思うようになった。その一因は、使用を始めて2年経ち、いくら余り弾かないと言っても毛替えをしたこともある。実は、最初について来た毛はいい加減なものだったのかも知れない。電気製品でも最初に付いてくる電池は容量が最低限で動作確認の為だけのもので、直ぐに切れてしまう。それと同じ?毛替えをしたら音量もゆたかになり、これなら使える感じがした。
最近、チェロ仲間が続々と新しい弓を購入したり、弓が欲しいという人も増えてきたので、私からのアドバイス。
カーボン弓はまだ歴史が浅いので、進化の過程にある。そもそも CODA BOWが最初に世に出たとき、1年で劣化するという話があり、それは、どうやらカーボンファイバーを接着して固める接着剤の劣化が原因だと分かった。その後、各社が競ってカーボン弓を開発し、かなり良いものが出来てくるようになった(らしい)。
ごく最近、スピッカートの練習などしていると、試しにカーボンを使うと、かなり楽だという事に気が付いた(ただし、これは私が下手くそな為だろうが、ぴょんぴょんカスッカスッという感じで、音がちゃんと鳴ってない気もする)。アルペジオ(例えばバッハの1番のプレリュード)などでも、安定して弓先でもどの位置でもバランス良く鳴らすことが出来る。機能的に弱点というものがない。で、これで練習して本番はメインを使うとか、その方が技術的な上達は早い気がする。
だから、初級者で、楽器のおまけに付いてきたような弓で練習しているのならさっさと捨てて、カーボンをお勧めしたい。それなりの弓は50万以上するし、音色がどうのと言い出してオールドを求めたら最低でも100万は下らない。そんな大金を出して外れたら悲劇だ。カーボンなら、ある程度品質は一定だし、機能的には素晴らしいものが10万以下で手に入る。下手な弓で練習するのは時間の無駄だ、ちゃんとした機能を持った弓をなるべく早くから使うべきだと思う。その方が練習も楽しいし、早く上達する。何十万もする弓を買うのはもっと上手になってからで良いし・・。20万以下の木の棒を使う位なら絶対カーボンだ。将来、サブとしても役に立つ。折れないし。弓はこれで十分なので、余分なお金があるのなら、良い楽器の為に貯金した方が良い。
関係ないけど、もし私が50代だったら、日本人の製作家に私の体に合うようなチェロを作ってもらいたい。注文してできあがるのに5年、それから弾き込むとなると寿命が足りないので諦めているけど・・・。なんと言っても弓より楽器の方が幸せ度は高い。お金を使うなら弓じゃなく楽器。
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