今日は、天気もよいし、勝沼のなじみの葡萄農家のMさんを訪ねてきた。究極の葡萄と言われるヨーロッパ種の変わった葡萄を栽培して、直接販売しかしていない。葡萄を食べながら、話を聞いていると、今年のお客さんの傾向に話が及んだ。穏やかな性質の方だから、憤慨というよりがっかりすると言う話の内容を聞いているとこちらの方が腹が立ってくる。でも、世の中それが当たり前の感覚になっているらしい。まぁ、こういう話が大変多い昨今ではあるが・・・
葡萄とか、桃は山梨の名産品だし、有機農法、低農薬(果実には無農薬)で安心して食べられる、そして本当においしいものを発見したのは、山梨に越してきてだいぶたってから。この葡萄を知ったときは、初めて山梨に住んで良かったと思ったものだ。それからは、これを食べるのが年に1度の楽しみだし、プレゼントにも重宝してきた。葡萄の栽培というのは大変な作業である。だから、勝沼でも葡萄農家は跡取りがいないらしい。更に、この梅雨と台風を抱える日本で農薬を使わないで、皮ごと食べられる葡萄を栽培するのはほとんど道楽と言われている。私はこの農家の葡萄を知ってから、スーパー等の葡萄を買う気がしない。粒も小さく不揃いで、おいしそうでない。だから、今年も今日まで葡萄を食べてこなかった。それくらい Mさんの作る葡萄は素晴らしい芸術品のようだ。
ところが、最近の方は、これにクレームをつけるらしい。商品の内容についてではなくもっと些細な事だ。例えば、注文を受け、来月25,6日「頃」お届けしますとする。するとその25日にいきなり苦情の電話がくる。果物は天候により収穫が遅れることがあるのでと説明しても駄目。楽しみにしていたので、心配になって、とか、忘れているのかと心配になってとかで電話するという雰囲気ではなく、約束の日につかなかったのがけしからん、加ト吉の冷凍うどんなら頼めば次の日にはちゃんと着くのに!(高いお金を払っているのに、ということらしい)などと言われる。そういう人もたまにはいるだろうと私は思うが、問題はこの話を、他の試食に来ていたお客さんにすると、ほとんどの人がお客さんの側がもっともだと言うということだ。
多分、この記事を読む人も、半分以上は、約束の期日に遅れた方が悪い、と思うのだろう。ハッキリ言うが、そんな人はこの葡萄を注文しないで欲しい。私がいつも頼む桃の農家も、納期は言えないということになっている。単一のどうでも良いような葡萄なら、冷凍物と同じように、頼んだ翌日でも届けられるだろう。しかし、おいしい果物を食べようと思えば、農家の方に任せるしかない。天候の変化により、予定より早く完熟したり、雨や台風で遅れる事もある、それでも最良の状態で出荷しようと夜もろくろく眠れない生活がずっと続くのだ。2,3日遅れたくらいで居丈高になって暴言を吐くような人は、一括削除したい。
金さえ払えば、何でも言って良いわけではない。お客様は神様だから、と慰めると言うか諭す人もいるらしいが馬鹿な話だ。
こういう話は実に多い昨今なので怒っていると休む暇がないが、これは数年前、韓国の人がソウルからわざわざ電話してきて嘆いていた韓国の状況と同じだ。犯罪が増え、人々のモラルが地に落ち、貧すれば鈍すが、世の中全体を支配する。今の日本、最悪の不況下、更に加えて国の変人首相からして品格がないから、人心が乱れている。そんな中でも、「まとも」であり続ける事ができる、それを支えるのが真の教養というものだろう。
トラックバックさせていただきました。
今年はどうしても都合が付かずに行かれなかったので、お願いして送って貰いました。
しかし、価値のある物とそれを作る人の心を理解できない人が増えてきたんですね。
投稿情報: くまぱぱ | 2004-10-20 17:38