新しい録音機を購入したので、早速録音してみると、なかなかよいものです。
自分の楽器の音というのは実際にはよくわからないもので、人間の耳は実際にはたくさんの特殊フィルターがかかっていろんな音を聞き分けているものなんですね。
録音技師の方に話を聞いたところ、チェリストの録音をしたとき、実際に鳴っていると思われる音を再生すると、こんな音ではない、という。では、と調整すると、こういう感じだという。その音とはよくテレビで鳴っているいわゆるチェロらしい音、ということで、演奏者も自分のイメージを勝手に作ってそのつもりで弾いているらしい・・
実際虚心坦懐というか本当の原音なんてどこにあるのだろうか。録音するときだって、マイクやその他の電子機器、録音環境、エンジニアの好み、など変数がたくさんあるし、試聴時の再生装置だって、様々な個性がある、聞く人の耳の濁ったことといったら上の例のごとく。
人間の脳は、元々楽天的、快楽的に作用するものらしく、不愉快な音や事はなるべく見ない、聞かない事にするらしい。においだっていやなにおいだとすぐに順応して感じないようになるそうだ。人の声も録音すると、やけに低音成分が多くなる気がする。だいたい、録音すると周囲のノイズが予想以上に大きく聞こえるものだ。通常は耳がカットしてしまう音が、録音時にはいっぱいはいっているものだ。
チェロの録音をしてみると、だいたい、実際に自分できいているより音としては(音程・リズム・音楽性などをのぞく)よく聞こえる。よい装置で録音すれば実際よりよく聞こえるものだ。低音は鳴り、音にのびが感じられる、つまり倍音成分がたくさん聞こえるのだ。自分の演奏なんて聴きたくないのがふつうで、あんまり下手でイメージ(自分の妄想)と違うから、やる気がなくなるという人が多いけれど、DAT などのよい録音装置なら音がよく聞こえるので、間違いや修正があったとしても、それは気をつけて直せばよいという気になる。音が悪いと何をやる気もしなくなる。自分の音がどんなものかは相変わらずわからないけれど、よい録音・再生装置を持つことは楽しみが増えることになるのは間違いない。
値段でいうと、録音装置は3万円以上のものでそこそこだろうし、マイクでもヘッドフォンでも1万円程度のものを買えばまずまずひどい音ではないだろうと思われる。音程や、リズムなどのおおざっぱなチェックだけなら、デジカメの動画で十分。演奏の上達のためにはとても役立つので、安い買い物ともいえる。
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