昨日、ある人から写真入りの手紙が来た。N子ちゃん(といっても今は50歳以上になるのだろうか)と言う、37年くらい前、当時私は大学院生で、アルバイトに行っていたある精神病院の外来で、もう亡くなったY先生から、「なんとか入院させたくないから、この子の話し相手になって」と依頼されて、毎週話をしていた子だ。
外来で話をしていたのは3年ほど。私の修士論文は彼女の家庭に関することだった。そのあと私は北海道に移動したので、その後は、病院での付き合いはない。けれど、時々、電話や手紙が来ていたし、東京に戻ってからは、自宅に遊びにきたり、親子で訪ねてきたりのおつきあいがあった。最初に出会ったと言うこともあり、生涯忘れ得ぬ患者といえる重みがある。久しく音信が途絶えていたが、数年前、電話があった。入院して開放病棟に移った、と言う話だった。(ついに入院してしまった・・・)精神分裂病と言う病名は今は使わなくなって心的統合性失調症?とかなんとかもっともらしい名前に変わったらしいが、その病とその環境は、その苦しさに変わりはないだろう。
今回の手紙は、子供の頃の写真と、知り合った頃の高校時代の写真の2枚。長い手紙は、所々字が細く弱々しく、乱れて判読しにくいが、これまで支えてきたお母さんが亡くなったとのこと。病院での電気ショックとか、いろいろな人に出会って、救われているとか・・住んでいた家も売って、心細い生活になっていること・・・
今回ばかりは、大切な写真は返さなくてはいけないし、なんとか返事を書かなくてはならないが、体調も良くなくてなんと書いてよいかわからない。「青い空、白い雲、そのうち何とかなるだろう」なんてことではすまないし、なにができると言う訳でもない。希望を見いだすとすれば、それは彼女の心の中に見つけなくてはいけない、と頭では思うが・・
N子ちゃんに、わかりやすくはっきりと伝わるメッセージ、(私が面倒みてあげるから心配はいらないとは言えないのだから)彼女自身がこれから1人でも生
き抜けるヒントになる、少なくとも心に残るように・・余裕(ゆとり)の感じられる言葉が欲しい・・・。自分が魔法使いでも神様でもないのが残念・・。
障害があってもなくても、一人で心細い思いで膝を抱えている人が今の世の中、たくさんいるだろう。ただ生き延びることだけでも願う。
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