チェロはなんと言ってもその音色がすばらしい。では、どうやったら良い音色になるのだろう。ただし、音色にもいくつものレベルや種類があるので一概には言えないし私も残念ながら出来ていない。でも、とりあえず初級・中級レベルでの話に限定して考えてみる。
音程を正しくする練習法については、前に書いたことがあるが、同じように音色についてまとめられるかというと、これはそんなにうまくいかない。音色が良いと言うのは、絶対的な基準や誰もが分かる何かがある訳ではないし・・・。
でも、これまでの経験で、これは駄目だと言うポイントはいくつかある。自分ができていない事を承知でまとめてみる。(ちゃんとできていたらもっと良い音色なのだが、全然納得がいくレベルでないので、できてないのに分かったように書くと言われると困る(^^) 出来ていなくても最低の注意点だけは分かる、と言う程度でお読みください)
1)弓は弦に対して直角である事。(直角でないと上下にふらつく)
2)弓毛の接点は基本的に1カ所である事、上下にふらふら動かないこと。(1点に正しくぴたっとセロテープで貼付けたように弾けるようになったら、曲にあわせ自由に動かしても良い)
3)発音はきっちりと(これも基本の基、始め良ければすべて良し。)
4)美しいビブラート(音色のかなりの部分はこれ)
5)脱力
6)弓の速度のコントロール
7)楽器の性能(調整の問題・・・)
8)弓の性能
9)運指の工夫(場所、指により音色が変わる)
10) 弦の押さえ方(一瞬のスピードでポコポコと)
11) 音程は正確に
・・・・まだまだあると思うが、今すぐに思いつくのは、こういう事、このすべてが音色に関係する。音色に変化を付ける場合にもこのいくつかが影響を持つ。
音色にも初級・中級の課題があり、上の123項目は初歩の初歩。これだけは言っておかなくてはならないが、良い音色とかなんとか言う前にまず、キチンとチェロの音がしっかり出せると言う事が大前提。(これがまずできない)1、2は最初に習う事だが、これが駄目だと、弓は弦の一点を弾き続けることができない。それはエネルギーのロスであり、ノイズを増やし、響きを止めながら弾くと言うことになる。まして安いへなへなの弓だと、弦の圧力に負けてしまうので、常に弦の抵抗を強く受け、1点にじっとせずへろへろ動き回ることになりかねない。(だから、割と早期によい弓にする方が上達の早道)
良い音色で弾きたいと思ったら、まず基礎訓練を。ちゃんとした正しい音が出せて「その上で」しか良い音色の工夫なんて出来っこない、と言う事を肝に銘じましょう。残念ながら、うまくないのに良い音色だけは持っているなんて事はないのです。
それと、良い音色は常に良い音色を求め続けていなければ、近づくことはできないと思います。単純な練習曲でも、ただ指がうまく回るだけでなく立派なよい音で弾く事を心がける事が大切。
良い音色の1つは芯があって、かつ沢山の倍音を鳴らす事。それによって豊かさ、深さが出てくる。だから、自分で響きを消したり押さえたりするような弾き方はいけない。右も左もぎゅっと押さえつければそれだけで倍音が死んでしまう。大きな音と豊かな響く音は別。力づくで弾けばそばでは大きな音に聴こえてもそれだけ。
123について理解できたら次の練習は、弓の速度のコントロール。これは、倉田先生から教わったトルトゥリエの練習法。ロングトーンの練習の後、ゆっくり7つ数えてダウンボーから始まり、次のアップは6つ数え、次のダウンは5つ数え、次のアップは4つ、3つ、2つ、1つと言う風に正確に数えながら弾く。結果として一弓全弓の速さが段々速くなる。これが基礎練習。音の大きさを変えずに、音がひっくり返らないでよい音で響かせられるように練習する。これが安定して出来ると、速く弓を動かしてピアノで弾く事もでき、音色に幅が出て、曲を弾く楽しさがぐっと増すし、芸の幅はかなり広くなる。・・・
音色は永遠の課題、すぐにはどうにもならなくても、正しい方法を知って時間を掛けて練習したいもの。そしてただチェロのよい音がするだけでなく、個性的な音色、その人の香りのする音色を持てたらすばらしい。(プロでもそれがない人が沢山)
八王子の宮地です、お久しぶりです。
チェロの練習法、いつも参考にさせていただいています。その後無事にレッスンを続けてまして、今2年8ヶ月目、A.シュレーダーの35番、曲はボッケリーニのメヌエットあたりをやっています。「発音はきっちりと」が当面の努力目標ですね。もう少しうまくなって、ぜひいつかアンサブルの集いにも参加してみたいです。ではでは。
投稿情報: 宮地 | 2008-11-09 11:48
宮地さん こんばんは
チェロ続けてるんですね。3〜5年の間に1000時間練習すれば、中級になってだいたいの曲は何でも弾けるようになる・・(といいなぁ)
うまくならない人は、こつとか才能とかの以前に圧倒的に練習時間が少ない人が多いです。(^^) これでは無理。練習時間は正直です。頑張って下さい。
投稿情報: goshu | 2008-11-09 20:06