バイオリンやピアノに比べると数は少ないけどチェロの小品も魅力的なものが沢山あります。
でも、弾きやすさという点からするとなかなか適当なものが見当たりにくい気がします。大体、本当は小品というのはアンコールピースというくらいだから、名人達人が弾いてこそ絵になると言う気がします。
本当は、簡単なソナタなどをやる方が練習になると思いますが、弾きたい曲の魅力にはかなわないかも(^^)
で、私の弾ける範囲で見ると、やっぱりハ長調、ト長調、ニ長調などのものが一番楽器がよく響いて弾きやすい、従って音程もとりやすい、気持ちよく弾けるし発音の練習にもなる(結構な時間を掛けて練習するわけだから、やっぱり練習効果の高い曲がよい。楽器がよく響く状態で音程を取る、ビブラートの練習やボーイングの工夫をする方が効率が良いと思います)、と思います。フォーレやシューマンは音楽としては素晴らしいし弾いてみたいけど、音程を取るのが難しく、楽器を鳴らす事も難しいし、なかなか気持ちよく弾く境地になれない気がします。ましてや聴く人を楽しませる事は難しい。基礎の固まりとまでは行かないけどそれを弾いていたら上達するという小品が良いと思います。上手になっても時々は戻って更に音楽的に弾けるように繰り返し練習したい曲。
先ずは、ハ長調の代表?とも言える曲
グノー「アベマリア」(レベル1=親指を使わないレベル)
これは2回繰り返しで、2回目はオクターブ上げて弾くのが良いです。どれだけ響きの良さを感じて広々と全部良い音で弾けるかが鍵。しゃれて弾くというより誠実にまじめによい音を作るのが良いんではないでしょうか。
楽譜:「チェロ小品集 2」(一柳信二編 音楽之友社)
次のお勧めは、
バッハ「アリオーソ」(レベル1)
朗々と音をつなげて弾くように、停滞しないように前に向かって弾くというのがポイントでしょうか。終わりの低音域の音がちゃんと鳴らせられればぐっと魅力アップ。
楽譜:「チェロ小品集 2」(一柳信二編 音楽之友社)他沢山の本に入っている。
ワーグナー「夕星の歌」(レベル0,5 第4ポジションでOK)
ピアノ伴奏してくれる人がいたら是非。中間部からが気持ちよい事限りない。元はバリトンのアリアなので、チェロで弾くとぴったり。とても簡単、簡単すぎるのでピアノが必要。
楽譜:「チェロ小品集 1」(一柳信二編 音楽之友社)
ゴルターマン「La Foi」(レベル1)
このレベルではともかくきれいで簡単で気持ちよい(最後の重音もじっくりやれば良い練習になる)ビブラートの練習にもちょうど良い感じ。
楽譜:IMC 黄色い色のピースもの(アメリカ)
ゴダール「ジョスランの子守歌」(レベル1)
ピアノが入ると音響的に助けられて気持ちよい。基礎的なボーイングの練習になる。(チェロを習い始めて1年、ようやく曲らしいのが弾けたと喜んだ曲。この曲をやる時点で楽器を買い替えるように言われた)
楽譜:「チェロ小品集 1」(一柳信二編 音楽之友社)
メンデルスゾーン「無言歌」(レベル2=親指を使うと言ってもごく部分的)
初級者には無理ですが、これも思ったほど難しくなくて弾きやすい。ロマンチックだけど崩れない品の良いメンデルスゾーンの趣味の良さが光る曲。
楽譜:「チェロ小品集 3」(一柳信二編 音楽之友社)
エクレス「ソナタ」(第1、2楽章)(レベル2)
小品とは言えないが、やはりバロックは基本。バイオリンの曲ですが、チェロの方が良い感じ、コントラバスでもよく弾かれる。倍音の豊かな楽器ほどその響きの良さが楽しめる。その響きをナルシスティックに感じながら(首を振りたくなる?)弾くのがポイント(^^)。中高域のビブラートの練習に良い。
第2楽章は結構難しい。素早い全弦に渡る重音を弾いたかと思うと素早いポジション移動、かつ音は輝かしく充実して弾かなくてはいけない。別に高等テクニックではないけれど正確に速く弾く機敏性が必要。今更ながら考えると、この曲がちゃんと弾けたらかなりの曲が弾けるだろうと思います。これが弾けたら次に紹介する「アレグロアッパショナート」はすぐに弾けるようになるでしょう。こういう曲の練習法は、全部やらずに最初は1日2小節くらいをゆっくりと正確に指が自然に動くようになるまで、それができたら4小節を・・と言うくらいにやっていくと、始めちょろちょろでも弾く能力が育って、中ぱっぱで弾けるようになる。いい加減に全部やるのを何度繰り返しても時間の無駄。
楽譜:スズキチェロ教本
他にもお勧めがあれば教えて下さい。
レベル表記について・・私なんかが生意気にレベルを云々する資格はありませんが目安がないと困るので一応・・
レベル1は、第7ポジションまで何とか弾ける程度(ハ長調で3オクターブの音階)
レベル2は、白鳥が何とか弾ける程度(ニ長調の3オクターブの音階が正しい音程よい音で弾けるという事を意味します)
レベル3は、ハ長調の4オクターブの音階が弾ける程度。(こんな曲はほとんどないですが、レベル3まで行くと左右とも脱力など自由度が増して世界が変わって来るので挑戦した方が良い)
これ以上先のことは実質レッスン受講歴7年の私には分かりません(^^;;
以上、大体の目安です。ほとんどの曲はレベル2でOKだと思います。というか、有名な曲のメロディはほとんど全て弾けるので、ここで目標を見失い、一方ここから先は急な坂でなかなか報われない地道な努力が必要なので、ここで終わってしまう人が圧倒的に多い。メロディがたどたどしく弾けるだけではだめで、問題は、音色とかアーティキュレーション、ビブラートの質、ボーイング技術・・そして音楽性など評価しにくいもの(^^)。これからが正念場。(^^)
(つづく)
あ〜、こういうの、待ってたんです〜〜!!
自分ではレベルとかわからないし、その道を通ってきたアマチュアならではの視点がありがたいです。
エクレスのソナタ・・・レベル2なんだ。次やろうかなぁ。急に候補になってきました(笑)。
「つづき」にも期待!です。
投稿情報: まかべ | 2009-06-28 19:56
こんなのは?
ベートーヴェン;ト長調のメヌエット レベル1かな?
これ颯爽と弾くと美しい。トルトゥリエがアンコールでやっていたのが忘れられません。
ポッパー;いつか美しいあの日のように
ポッパーといってもこれは哀愁を帯びた美しい歌です。最高音はCまでで親指なし。早いところなし。ハ短調です。
※無言歌は大好きだけど私にはちょっと難しかったです。
投稿情報: ダンベルドア | 2009-06-28 23:12
まかべさん
じゃぁ、続きも急いで考えます(^^)
この種の曲はピアノがあった方が断然良いですね。第一、やる気になるし、リズムとか音程とか補正されるし、上達のスピードも結構違うんじゃないかなぁ。・・専属ピアニストを時間を掛けても作りましょう!
投稿情報: goshu | 2009-06-28 23:34
ダンベルドアさん
あ、そうですね、無言歌は評価が分かれるかも・・でも、弾いていて気分が良くて、響きも明るくてよく鳴る。音が飛ぶ難しいところもごく一部だから、全体としてはレベル2という事では?
ポッパーは聴いた事も弾いた事もないです。調べてみよう。でもハ短調は楽器の響き的にどうでしょう・・。(今回はこれをテーマにしたので)
(追記)ありました(^^;;持ってましたが、印象に残らず忘れていた。「Cellists Favorite Contest Album」(Collier編 Carl Fischer版)所収
投稿情報: goshu | 2009-06-28 23:38
ダンベルドアさんの書いておられるポッパーの曲ってコレですか??
http://www.youtube.com/watch?v=2LXLhVGwebc
私もこの曲好きです。いつか弾いてみたい。
あと、ピアソラのアヴェマリアが弾いてみたいです。
http://www.youtube.com/watch?v=3SgHqjYQZ_o&feature=channel_page
投稿情報: miho | 2009-06-29 21:19
mihoさん
この曲です。でもこのyoutubeの演奏ピアノ伴奏がありませんね。Fond Recollections Popperで検索するといろいろ出てくると思います。
ピアソラもいいですね。これは映画ではTanti Anni Primaという曲名で使われました。
投稿情報: ダンベルドア | 2009-07-01 23:47