チェロ弾かない歴

私がチェロを始めたのは20代。レッスンを受けたのは最初の3年位。それからは地方暮らしでレッスンもなくアマオケで遊んでいた。それから4年たって東京に戻ってからレッスンを再開したものの1年足らずで先生が亡くなり，レッスンを受けなくなってから急速にチェロ熱が冷めたようだ。

一応チェロは弾いても1か月に1度か2度というような状態。人に誘われればカルテットでちょっと遊ぶ位で，およそ練習というものをしなくなった。20代の頃は音楽がなければ生きていけない等と思っていたものだが、あさはかというかそれから20年近く空白の時間。どうしてか、良い音がしないと言うのが第1の理由だろう。良い音がしないとやる気が起こらない。練習しなければ良い音なんかするはずはないのだが，どうして良いか分からないし・・多分多くの人がそういうことを経験するだろう。プロの音を聴くと，所詮無理なのだと思わざるを得ない。チェロなんかやめて聴いてるだけの方が良い，と思う。

やがて、転機が訪れる。1998年50歳になり富士登山をしてどんなに苦しくても歩みを止めなければやがて頂上にたどり着く事を体験。地道な努力を嫌っていた私としては画期的？。この体験はずっと強い影響を与えます。2004年5月から人に頼まれて小学校の女の子にチェロを教え始めました。その責任感からということもあって，基礎のレッスンを受ける事になりました。そして2005年3月からレッスン開始。最初のレッスンは半音階だけゆっくり2時間もやった。この基礎レッスンで火が付いた感じ。この年の5月には、神戸で国際チェロコングレスに参加。1週間チェロ三昧で大いに刺激を受けた。2007年からはチェロアンサンブルを定期的に練習する事になり，レッスンの基礎練習も終わって(諦めて？）、色んなエチュードコンチェルト、フォーレ、ブラームス、パガニーニ等々やるようになって今日に至る(^_^)　相変わらず下手くそで弾けてないが，昔とはっきり違うのは決して諦めない事。チェロをやめることもないだろう。弾ける弾けないではなく，今こうして練習していることに意味があると確信している。そもそもチェロを始めた動機からして何か曲を弾きたいとか弾けるようになりたいとか思ったわけではなかったのだから。チェロを通じてカザルスのようになりたいと思ったただ一途な気持ち。それが蘇ったと言うこと。

長いブランクのあった私としては、今大人になってからチェロを始めた人には特別の思いがあり、やれば必ずできる事を伝えたい。問題は、やり方、考え方。単なる技術ではなく、励ましが大切だと言うこと。お世辞言ったり慰めたりではなく，事実を伝えること，だと思う。志のある人みんながチェロが上手になって楽しめるようになって欲しいと心から思います。お手伝いすることがあれば何でもしたい気分。

Comments

[投稿情報: はる]

　初めて（たぶん）コメントさせていただきます。４０代でチェロを始めた２年前からこちらのブログを拝見して、色々なことを教えていただいています。ありがとうございます！
　私が習っている先生が仰ることを別の角度から教えて下さるような記事を読んで、こういうことかー♪♪と嬉しくなったことも何度もあります。
　「大人からチェロを始めた人」への愛情を記事からひしひしと感じている一人です。今年のコングレスには事情でうかがえませんでしたが、いつかどこかでご挨拶するかもしれません。その時はどうぞよろしくお願いします。

[投稿情報: goshu]

はるさん　こんにちは
　生意気な事を書くことがしばしばあると思いますが，所詮へたっぴの言うことですから、割引して読んでください。
　当たり前の事ですが，練習は正直です。で、大人の場合練習の意味が分かって取り組むことが大切ですね。意味が分かればいい加減にはできませんから。間違った練習はしばしば命取りになりかねません。私なんか間違いの塊ですが、しかし、やればできる。直そうといつも努力すれば少しは直ってきます。これがこの5年間のレッスンで気がついたことです。だから、諦めないで，正しい道を歩みましょう。邪道に入って開き直っている人は縁無き衆生です(^_^)

[投稿情報: さくら]

４０でチェロを初めて、１年半無我夢中で何もかも新鮮で驚きと楽しみと発見の毎日でした。その後、半年間、自分に問い始めてから、苦しかった。
毎日練習して、上達して　その先に何があるのか？上手になりたい、きれいな音を出したい、弾きたい曲が弾けるようになりたい等と夢見て努力して何が得られる？単なる自己満足？誰に認められるわけでもなく、ただ消費するだけ？チェロのレッスンに通っている意味、意義は？私のチェロの将来。。等、練習すればするほど、頭の中で繰り返される文言に、打ちのめされ、１日を長く感じながら過ごしていました。コングレスを見て、初めてのレッスン時、５歳以上年下の先生から、「将来どうしたいですか？」「何もしないうちから駄目と諦めるのは間違ってる！決めつけるのは、おかしい！」と話されていたことを思い出しました。（先生は言った事をもう忘れていますが。。）goshuさんの言葉も胸に響きます。チェロを愛する単純な心を維持し続ける強さが必要なのかもしれません。
今は、復活し、次回コングレス初参加目指して、課題曲、練習曲に取り組み中です。いつか、チェロで、お会い出来る日を楽しみにしています。

[投稿情報: goshu]

さくらさん　今晩は
　先ず、50過ぎてから始めると色々と大変の度合いが違ってくるけど，40だったら前途洋々でしょう(^_^)大丈夫ですよ(^_^)