今日書道のことから,先生の教え方についてちょっと書きましたが、 そういえば、故佐藤良雄先生がカザルスにブラドでレッスンを受けていた時も,毎週金曜日夕方2時間ほどのレッスンだったようですが、決して怒ったりする ことなく、でもどうしてもできないと本当に悲しそうな顔をしたそうです。その顔を見るのは怒られるより辛く、となんとかしなくてはとねじりはちまきで練習 に励んだとか・・。
ついでに、佐藤先生のレッスンは、カザルスの奏法を伝えるということに眼目があったので、曲目も_鈴木メソッドの初期のチェロ教材は「佐藤チェロスクール」というタイトルで前半は才能教育のバイオリン教本と似たような構成ですが,3巻以降は,カザルス名演奏曲集」のようになっています。先生が生きておられた時は第5巻までがやっと出版された位で、5巻の最後はサンサーンスのアレグロアッパショナート。でも、それより難しいバッハのミュゼットとかその前に載っていました。私が北海道から帰京してレッスンを再開した時は新しい教本がなくて、フォーレのエレジーとか,そして、タルティーニのチェロ協奏曲を始めました。第1楽章のチェロの出だし、弾き始めるとすぐに止められて、もっとリズムを生かして,もっと生き生きと・・カザルスはこう弾いた、と演奏して下さったのを鮮明に覚えています。譜面通り正確に弾く(のは当たり前ですが)だけではなくて、そこに表現されている命の躍動感のようなものを表現しなくてはいけないのです。
カザルスのレッスンではありませんが、2005年神戸で開かれた国際チェロコングレスで、アマチュア向けのチェロクリニック、カザルスの一番弟子グリーンハウスさんのシューマンの協奏曲のレッスンを見ましたが,風貌も表情も教え方もカザルスそっくりで,私はカザルスのレッスンを見せてもらったような気がして大感激でした。聞いていた多くのチェリストも、きっと同じような感動を持ったのでしょう。そのレッスンが終わると長い長い拍手が延々と続きました。1週間続いたコングレスのイベントの中でももっとも心のこもった長い拍手だったと思います。分かる人には分かる,「チェロ族」には分かるのでしょう。
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