チェロを始めて2,3年は学ぶべき事がはっきりしていて,姿勢、指の形、音の出し方、弓の動かし方・・・沢山のことを習い、ひたすらそれを練習する。あちこち痛くなったりしながら,でも段々慣れて来る。やがて、曲らしきものも弾けるようになり、5,6年もたてば有名曲も手がけるようになり、アンサンブルに入れてもらえるようにもなる。そうやってチェロが楽しめるようになって来た頃から,スランプ?が忍び寄る。
私はこんな状態が30年以上続いて,チェロも殆どお付き合い程度?しか弾かなくなったような気がする。オーケストラに所属していれば否応なくチェロも弾き楽しんではいるようだが,そういうことで満足はできない。なんとか楽譜を音にはできるけれど、何よりまともなチェロの音がしていない。思い浮かべる音楽には到底到達しない。
こう言うことは長くやっていれば誰でも経験することだろう。長くやればやるほど、諦めの気持ちも強くなっていくと言うことだろうか・・。私は大変恵まれた環境にいて,良い先生にレッスンを受けたり刺激を受けたりする機会も多かった。チャンスは沢山あったはずだが,自分で愚かにもその芽をつぶしてきたと思う。
私の場合、7年ほど前に、頼まれて小学生の女の子にチェロを教えることになったときから,転機を迎えることになる。自分が上手になりたいと言うことではなくて、責任上、基礎について確たる事を知らなければならない,と思って、2005年2月、相当久しぶりにレッスンを受ける事にしたのだ。レッスンは,基本から、姿勢、発音、指並べ、など初心者がやることを全て1から教わった。基礎が大事だなんてことは耳にたこができるほど聞いているし,そうも思っていたがそれは頭だけのことだったのかも知れない。基礎が大切と反省することと,まっさらな気持ちで基本の基を始める事では全く違う。最初のレッスンは半音階の指並べに2時間を要した。
けれど、なんと言うことか、これで私は目が覚めた。努力すれば必ず上手になると言うことを確信したのだ。単純だ。この頃から,ブログにレッスンの事をメモするようになったので,その時のことを思い出すことができる。それから、ウエルナー、ドッツァウアーなどをやった。ブログには,気がついたこと等を書いて来たけど、えらそうな事、上から目線と思われる書き方も多々あるが、それはいつも自分に対して反省している内容なのだ。ヘタなアマチュアとは私のことで、だから、そういうタイトルになっている。言いたいことはただ1つ、自分がどんなに駄目かをよく知ること。しかし、基本を練習する事がどんなに希望に満ちあふれているか、たとえ結果が上手にならなくても、正しい努力をして遙か彼方を目指すことはそれだけで価値のあることだということ。それは歴史に残る名人達も同じ道を歩んだはずだから。一種の宗教的巡礼の旅と同じかも。
まさに同感です。ゴーシュさんが日頃から提言されているように、ある域に達しないと自分のレベルを客観視できないことは事実です。
アマチュアに甘んずる事無く、常日頃から自分の耳鍛え、理想とする演奏とのギャップをいかに感じるかだと思います。かく言う私も過去にアマオケに所属しながら今まで何故上達しないのかという命題に悩んだ時期がありました。
そのためには、今自分がどういう状況(レベル)に置かれているか、常日頃から冷静に判断できる耳を養う事だと思います。更に他人の批判にも素直に甘んじられる寛容さも大事だと感じています。
謙虚さと鷹揚さとプライドのバランスがアマチュアの3要素と感じます。
投稿情報: makoton | 2012-04-11 20:21
makotonさん こんばんは
みんな悩みながら、でもちょっと休むことがあっても止めないで(これが大事),頑張りましょう(^_^) でも、今は色々な機会ができて仲間がいると言うことは心強いことですね。私なんかずっと1人でやっていた感じなので,特にそう思います。
投稿情報: goshu | 2012-04-11 21:06
巡礼の旅ですか。
なんだか、感動してしまいました。
温かみのあるgoshuさんのチェロの音色と、厳しい注文の内側にある気持ち(というか情熱)を見せていただけたような気がいたします。
読んでいるこちらまで情熱がわいてきました。ありがとうございます。
投稿情報: しるくら | 2012-04-11 23:07
しるくらさん 今晩は
いやぁ,しるくらさんの情熱ほどではないでしょう。チェロをやっている人の気持ちや事情?も人それぞれなので,あんたの言うことなんか全然的外れだよと言う人もいるでしょう。気楽に楽しめばという人も多いことでしょう。だから、人のことをとやかく言ってるわけではありません。独り言ですね(^_^)
ところで、巡礼には色々ありますが、四国のお遍路さんは仮に一人で四国八十八箇所をめぐっても、同行二人と言って常に弘法大師と一緒にいる想いで巡礼しているそうですね。それが思い浮かびました。スペインのサンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼の道でも、帆立貝の飾りを必ず身につける。それは元猟師であった聖人ヤコブと共に歩くという意味らしい。巡礼とはそういう性格を持つらしい。
投稿情報: goshu | 2012-04-11 23:44
私はフレットレスのエレキベースを弾いている者ですが、結局、基本が全てなのではないかと思っています。
最近ヴァイオリンやチェロなどクラシックの弦楽器をよく聴きますが、さすが非常に参考になります。
世界を舞台に活躍する超一流の演奏家と無名の演奏家を比べると、やはり一番違いを感じるのはどれだけ基礎がしっかりしているかという部分のような気がします。
ただ、無名な演奏家でも心に残る素晴らしい演奏は多々ありますし、そこがまた音楽の一筋縄では行かない所でもあり面白い所でもあると思うのですが…
投稿情報: ultrayamadakun | 2012-04-24 17:12
ultrayamadakunさん こんにちは
そうですね。で、基本が大事だと分かるということ自体がもう上級者ということでしょうか。
投稿情報: goshu | 2012-04-24 17:58