ただいま、バッハの「フーガの技法」製本中。何しろ30ページに及ぶので、製本テープよりは無線綴じだ。楽譜をきちんと製本して用意するのも演奏者のたしなみだ。これは今週末のAPA(アマチュア演奏家協会)の某例会用。毎回人の楽譜で初見ではいけないので。この会は、1日で練習?する曲が無闇に多い。ベートーベン弦楽四重奏曲op-18-2(先々月はop18-1だったので、楽譜をコピーしてさらっていったら先月はop18-2に進んでいた!1曲は2回弾いたら終わりらしい)
私がチェリストの「たしなみ」(いつ突然言い出されても良いように、さらっておくべき曲)と思うのは、ドボルザークの「アメリカ」(これが嫌いだという弦楽奏者はいない。あまりにポピュラーだが、何度弾いても弾きたい曲で、弾こうと誘っていやがられることはない。その代わりちゃんと弾けて当たり前。曲がすっかり頭に入っていないと楽しめない)、シューベルトの弦楽五重奏曲ハ長調(チェロ2本で、2番チェロはゲストが弾く事になっている)、第1楽章に他のメンバーがうらやむような美しいメロディをチェロが奏でる、ここを上手に歌わないと、メンバーから白い目で見られる)「死と乙女」(略称:しおとめ)これも、難しい曲だが、美しい名曲、第4楽章の終わり異常に速くするバイオリンがいるからそのつもりでさらう)もし、6人いたら必ずやるのはブラームスの「弦楽六重奏曲」、2曲あるが、2番は比較的簡単で、1番の方がチェロはおいしい、これも上手に弾かないと顰蹙を買う恐れが・・。他にも色々ある・・・これらの曲は完璧に弾けなくても、少なくとも落ちないこと、チェロのでるべきところはちゃんと出ること、だから弾けなくても何度も聞いて曲をよく理解しておくことが必要。
逆に、私(チェリスト)が一生懸命さらって準備していても、なかなかやってもらえないのは、ブラームスのピアノ四重奏曲第3番の胸が締め付けられるように美しいアンダンテだ。かつて1度だけ、リクエストしてこの曲をやってもらったら、(何しろ冒頭から長いチェロのソロがあるので)バイオリンとビオラから、「何だ、そういうことか」との声あり、そういうわけじゃないのだが、そう思われる。で、知っている人は、遠慮してつきあってもらえない。何しろバイオリンが主導権を持っていることが多いから、バイオリンがおいしい曲でないとなかなかやってもらえない(^_^) シューマンのピアノ四重奏のアンダンテも、チェロはものすごくおいしいがやる機会は少ない。「あぁ、あれはチェロが良い曲だよね」とか言われて結局弾かない(;;) まぁ、こういうむなしい努力は、チェロよりビオラの方が多いだろう、かわいそうに・・・
ついでにチェリストのたしなみの1つは常にエンドピンストッパーを持ち歩くこと。ケースに忘れず入れておいて欲しい。日本では、何処でも好き勝手にぶすぶす刺して良い場所は少ない。気遣いのできる大人のチェリストのたしなみ、マナー、である。
それはともかく、私はピアノ四重奏というジャンルが好きだ。ピアノに対抗するにはカルテットとピアノのピアノクインテットが良いのだろうが、中途半端のように見えるこのジャンルは、ピアノが少し遠慮して弾かなくてはならず、それが好ましいバランスを生んでいると思う。周りに配慮するピアニストなんて貴重だ(^_^) ブラームス3曲、モーツァルト2曲、シューマンもベートーベンもメンデルスゾーンもフォーレも作品がある。チェロをはじめて間もない頃からこれらの楽譜を買いあさった。しかし、こうしたメンバーを集めるのは容易でないので弾く機会が少ない。常設のグループができたらどんなに良いだろう。夢のまた夢・・・
このブラームスのアンダンテは、チェロ弾きなら必ず弾きたいと思うはずで、この動画でも(当たり前だが)よく研究されていると思う。
コメント