今日は久しぶりにホールが空いたので、チェロを運んで音出ししてみました。・・やっぱり良い!無伴奏なんてここじゃなきゃ弾く気にならない。それにしてもあんまり弾いていないので楽器が鳴らない、情けない。今日と明日はがんばるぞ。
(例によって(^^;))ところで、改めてこの楽器(Sgarbi Domo)を見てみるとなかなか味わいがある。自由が丘の楽器製作家・笠川さんから、佐藤良雄先生門下のTさんに渡り、そして、Tさんがフランスのオケで弾くための新しい楽器を購入するというので、佐藤先生に預けられ、先生から紹介のあった楽器だ。当時北海道小樽にいたが、急遽上京、小ぶりでふっくらとした形とゴッフリラーのような?深い渋い赤の色が一目で気に入って買うことにした。隣の部屋で試奏するのを聴いていた先生も良い音だと太鼓判を押してくれたし。ただ、安月給で一度には買えないので安くしてもらった上に3回払いにしてもらった(^^;) つきあって40年近くになる。もっと音の出るもっと明るい音の楽器が欲しいと思わなかったわけではないが、結局古女房というか、多少問題があっても愛着がある、駄目なところはそれとして諦めて、良いところを楽しめば良い、贅沢なことを言う身分じゃないし・・・。数年前フレンチチェロも購入してそれはそれで素晴らしいが(このとき愛妻2号を持つ人の気持ちがよく分かった(^^;))、両方を弾くのはなかなか性格が違いすぎるので大変。二兎を追う者は一兎をも得ずと言うことになりかねない、ので手放すことにした。弾ける人に存分に弾いてもらわないと楽器もかわいそうだし。
これまでも様々な艱難辛苦に耐えてきたチェロだろうが、沢山の人の手をかけて補修され磨かれて今日ここにある。満身創痍と言って良い古いチェロだが、つやはあるがぴかぴかではなく落ち着いたニスの状態も素晴らしい。つぎはぎだらけのがらくたとののしられたり、弾く人を幸せにする楽器と褒められたりしながら、もう、たぶん一生このままこの楽器を使い続けるだろう。腐れ縁と言ってはこの楽器に失礼だが。私の死後も、誰かに愛され大事にされることを望むばかりだ。
素晴らしい楽器への愛情ですね。感動しました。私も1800年頃に作られた、Louis Panormoというイングランドのオールド楽器を20数年間使っているのですが、200年ちょっとの歳月の中で、修理も相応にあり、満身創痍の状態です。もっと艶やかな、輝かしい、力強いチェロが欲しいと強く思った時期もありましたが、貴ブログを拝読し、私も今の楽器を一生大事に使い切ろう、そして次の世代に無事引継ごう、と決意しました。有難うございました。しゃふらん 拝
投稿情報: しゃふらん | 2015-08-10 01:04
しゃふらんさん こんにちは
なんだか良さそうなチェロをお持ちなんですね。200年前なら相当古い音がするでしょうね。こういう音って新作楽器では出せないですから、やっぱり離れられないですね(^_^)楽器は人間と同じだと思います。学歴や才能、能力だけでは評価できないその人の関わりの歴史がありますね。この楽器もその昔新作楽器でぶんぶん言わせていた時代もあったでしょう(^_^)今老いさらばえてその影すらなくなっても若くて美しい時代もあった、失われたものも沢山あっただろうけれどその後私との出会いもあったし、一緒に磨いてきたものもあったはず・・その思い出とともに今を大切にしたいものです。
投稿情報: goshu | 2015-08-10 12:32