朝から雨が降り続いている。久しぶりの雨でホッともするが少しうっとうしい気もする。そんな時は、有田焼の茶香炉に煎茶を乗せて焙じる。柔らかいろうそくの光の揺らめきとともに次第にほうじ茶のすがすがしい香りが部屋に漂ってくる。
今日は雨だから庭仕事もできないしチェロを練習するぞっと思ったけど、しばらくは何もしない(^^;)
ティスプーン2杯分くらいのお茶で、小さなろうそくで約4時間、香りを楽しむことができ、できたてほうじ茶を飲むこともできる。
ついでに、お線香立ては奈良の薬師寺で購入した汎用品だが、玄関においてある1本立てのもの。良い香りは人の心を安定させる。匂いや触覚というのは人の根源的な意識とつながっているのだろう。
ちなみに、私の心理学の卒業論文は、「不安が知覚に与える影響について」という実験。不安の強い人ほど、ものの形や色より質感に反応する、というもの。
また思い出話で恐縮ですが、この実験の数値を統計的に処理するのに(もう忘れたが確か「χ二乗検定」とか言ったかな)昔は今のような安い電卓というものはなくて、タイガー計算機という手回しのとんでもなく面倒な機械を使うのが一般的だった。これを考案した人の愚鈍な努力は並大抵のものではなかったろうと推測するが、頭を使うのと手を使うのとどっちが疲れるかと言うくらいぐるぐるハンドルを回す代物で、考えただけで寒気がする。そんな根気はなかった私は、大学の先輩のつてを辿って二番町の中曽根事務所の上にあった海上労研という所を訪ねてそこにあった大きな電気式卓上計算機を借りたものだ。ルート計算が一発でできるという(今では安い電卓でも簡単にできる)優れものだった。この計算機の進歩のスピードほどすごいものはない。今はどこでも見かける電卓を眺めるたびに、その感慨をもつのであります。
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