楽器の上達って、まっすくエレベーターのように上に登るのではなく、らせんを描いてゆるやかに登っていくものだと思います。ただ当人の実感としては、どんと落ちたり急にステップアップしたように感じるけど。実際は、決して同じ所に戻ることも急にうまくなることもない。同じ事の繰り返しをしているようで、実際には上に上がっている。
レッスンもそう言う流れに沿って行われないといけないと思います。練習するのでも、自分の進歩を感じられないとやる気がなくなってしまいます。高い山に登るのと同じ。
でも、(^_^)
昔はそう言うことだけで良かったんですが、向かい風というのもあるので、それが年齢と言うことですね。ただたっているだけだと、少しづつ地面が後ろに下がる。緩やかな後ろ向きの歩く歩道に乗っているようなもの。だから、若いときより休めない、と言うことに(^^;)。
先年神戸で行われた国際チェロコングレスの講演で、シュタルケル(写真の真ん中、左はグリーンハウス、右はロストロポービッチ)は、大人になってからチェロを始める人が増えているがいつまでだったら始められるでしょうという司会者の質問に、「70歳までだったらプロになるとかコンチェルトを弾くとかでない限り問題ない」とまじめに答えていました。
それから、彼は、自分の音楽人生を振り返って若い人たちへのアドバイスとして、自分がチェロを弾き音楽をやれたことを幸せだったと思っている事、ステージの上で誰がどれだけ強いスポットライトを浴びたかではなく、音楽によってチェロによってどれだけ人生を豊にできたかが大事だ、とこれもまじめに語っていました。(他のことは彼らしくからかいや皮肉に満ちた発言が多いのですが。)
(注)国際チェロコングレス(ICC)については、「チェロ・音楽」というカテゴリーの2005年5月前後の記事で、詳細にレポートしていますので、是非ご覧ください。
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