この所、バッハの無伴奏チェロ組曲第1番を基礎練習のつもりでやっています。
この楽譜はPeters版の古いのを除いて、カザルス版が2種類(アレクサニアンとトーベル校訂)とトルトゥリエ第2版を持っています。今やっているのは、アレクサニアン校訂のもの。
最初は、トルトゥリエ版でやっていました。プレリュードは、2拍をスラーでレガートに弾くもの、これが一般的でしょうか。近頃は、最初の3つがスラーで後は弓を1音づつ返すのがはやりかな。カザルスのは、最初の3つがスラー、アップダウンで又最後の3つがアップでスラーというパターン。
トルトゥリエ版である程度弾けるようになってから、次にカザルス版に挑戦すると、これが難しい。で、先ず、右手だけで練習しました。少し自動的に動かせるようになってから、左手も使います。1度先生に見てもらったら、2拍目のテヌートを大切に弾くように言われ、そうしたら全体のバランスが良くなって自然に弾けるようになりました。これで時々練習していたら、段々弓が軽く弾けるようになってきて(弓を持つ指を極力柔らかくするのがコツ)響きも良くなって、そしてやがて気がついたのですが、このカザルス版だと音楽にうちから湧き出るような躍動感が出てきます。アンドレス・セゴビアのギターによる演奏があるのですが、この演奏を聞くと低音部をギターでは補えるのでその動きが分かります。ポリフォニックな構成が分かりやすいです。その音楽と近いですね。ちょっとジャズっぽい?感じもします。
1番のプレリュードはとても人気があるので、みんな弾くわけですが、色んな版を試してみるのも勉強になります。色んな弓使いで練習すると、段々弓が自由に使えるようになってきますし・・そうすると世界が広がってきます。「自分の都合」の狭い世界から解き放たれて来ます。
先日の合宿に参加してくださった某N響のチェリストも、夕食時、誰かがみんな弓の持ち方が違うけどどれが正しいのですか?親指はそっちゃいけないんですよねと聞いた人に、「・・・どうでも良い・・・・・音楽が求める音を出すということが大事・・・」と小さくぼそぼそとおっしゃいました。
プロの音楽家はそういう風に音楽の求める声を聞き分け、その求めに応じて演奏法を工夫するものなんですね。
先日このブログで紹介されていた楽譜のCD入手しました。
バッハの第一番プレリュードわくわくして印刷し、最初の四小節弾いてみました。 でもゴーシュさんの楽譜二つとは全く違います。 初心者は何から始めるのをお勧めですか?
投稿情報: 童夢の初心者 | 2007-11-13 20:57
> 近頃は、最初の3つがスラーで後は弓を1音づつ返すのがはやりかな。
youtubeでcelloを探すと、ロストロポービッチがそうやって弾いているビデオが閲覧数トップというのも関係あるような気が…。
投稿情報: yoshi | 2007-11-13 21:51
こんばんわ。
非常に惹かれる記事ですね(笑)。
ちなみにペレーニは5つと3つでダウンアップでやっていましたね。
”カザルス型変形”だなと感じましたが。
これはこれで結構難しいですよ。面白いものです。
投稿情報: たこすけ | 2007-11-13 22:12
どーむさん
どうやって弾くか、レッスンの前にこっそりやるのであれば(^_^)、最初の段階では、先ず、音程をしっかり作らなくてはいけないし、まずは、1音づつ返してゆっくり練習曲のように弾けばよいと思います。所々音程を確かめるために重音で弾きます。次に4つづつスラーを付けて弾くのがおすすめ。それから先は、使う楽譜によって変わってくるし、先生の指導にしたがった方が良いでしょうね。
(ちなみに私は先生の方針に逆らってカザルス版でやります。どうせ原典がはっきりしない楽譜なら誰と心中するかという問題です(^^;)私はカザルスによってチェロを始めたしカザルスを最も尊敬しているからです。・・といいつつ第3番は今のところトルトゥリエ版が好きです(^^;)
まぁ、最終的にどうするかは死ぬ直前に決めるとして(^^;)、今のところ色んなやり方をやってみてどれでも自由に弾けるようになると言うことが大事だと思います。
カザルスのプラドでの一番弟子であるグリーンハウスさんはインタビューで、カザルスの無伴奏チェロ組曲の最後のレッスンについて、語っています。とても興味深いので是非ご覧下さい。
http://cello.jp/cellist/casals/int.html
投稿情報: goshu | 2007-11-13 23:29