チェロを愛好する皆様へ(元NHK交響楽団チェロ奏者 田澤 俊一)『最近、20万から、80万円くらいの楽器を何本か数軒の楽器屋さんで拝見しました。 チェロを始めたいという方たちに手頃の値段だということですが、余りにも楽器の状態が滅茶苦茶なのにびっくりしました。この場を借りまして、楽器の選び方の最低限の知識を皆さんと共有したいと思います。
1、指板(黒い板、普通は黒檀製)について
上駒(弦の一番上)は弦との距離が1ミリ程度、1,5ミリまで。
指板の反りは、第4ポジション辺りの弦との距離は、3ミリから4ミリ程度。
指板の端と弦との距離は、 A線側で約5ミリ、C線側で約7ミリから7,5ミリ。
第4ポジションが一番低くそれから高いポジション(体から遠い駒側)は大体平らで差し支えありません。
糸巻きの方から、指板に映る弦の線を見て判断します。
チェロの場合、ヴァイオリンと違い、指板の反りがありすぎると弾きづらい事になります。
仕上げには、#800番程度の「布やすり」をお勧めします。
但し、季節によって、指板は上下します。
夏は、指板が下がりますので、上駒以外はプラス1ミリ程度はお考え下さい。
2、指板のアーチについて
やはりスクロール(渦巻き)の方から指板の切れ目(駒のほう)を見て、D線の辺りが一番高い指板は、使い物になりません。
G線辺りが一番高く、願わくば、角ばってC線に落ち込むような指板をお勧めします。
親指を使える様になったときに、G線側が高くないと、高度の曲は弾けません。
特に、ドイツ製のものが酷く思いました。
3、駒について
スクロール(一番上の渦巻き)の方から指板との関係を見ます。
駒の足の中間の両側に出っ張りがあるはずです。
其れが、指板の両端に均等に見える状態で、駒の足の見え方を見てください。
指板の両側に均等に駒の足が見えていたら、ほぼ合格です。
F字穴の端から、駒の端までを測るのも良いかもしれません。(左右均等に)
F字穴の刻みが駒の足の真ん中になっていますか?
一番大切はのは、駒の足の角度。
テールピース側が楽器に対してほぼ直角になっていますか?
これは、楽器の側面の垂直線(横板の張り合わせ部分)に平行になっていれば合格です。
掌の合掌の様に立っている駒は、曲がってしまう確率がとても高いですし、音もあまり良くありません。
そのほか、魂柱の位置に関しても大変な問題がありますが、取りあえず、人間が弾ける状態にしないといけません。
僕の経験ですが、良い状態にある楽器が皆無でした。
S楽器では試し弾きの楽器の駒でさえ上方に曲がっている状態のものを見せられました。
楽器屋さんから買われる初心者の方たちは、チェロとはこういうもの、老舗の楽器屋さんから買ったから、こんなものかな。などと思わないで下さい。
指板(黒い指を置く板)の一番下の(駒側)弦との距離(駒の高さ)が、1センチ以上もあるような楽器は、絶対に買わないで下さい。
これらは、最近に見た数軒の老舗の楽器が余りに酷すぎて、チェロを弾きたいと思われる方たちが、こんなに大変な楽器は無理だと思われるかもしれないと思う、老婆心からメールをしました。
腱鞘炎になってしまいますよ。』
貴重なアドバイスを拝読できたこと感謝いたします。大変ショッキングな内容でした。
感想を申しますと、ご指摘の楽器の状態は、文章だけでは初心者には判断しづらいのではないかと思われ、
また判断できたとしても、もしすでに買ってしまった楽器が運悪くご指摘の状態に該当している場合、どうしたらよいのか、調整を頼むにも老舗楽器店は避けなければいけないのか?など、
ただただ不安で途方に暮れてしまうのではないかと思います。
もしよろしければ、すでに楽器を持っている初心者、またこれから楽器の購入を検討している者は
それぞれどうしたらいいのか?という観点でアドバイスいただけたら大変助けになると思います。
(とはいえ、信用できる楽器店の名前を直接挙げて頂くようなことは難しいと思いますが)
投稿情報: yoshi | 2008-07-22 13:25
私も、田澤さんと同感です。これまで多くの初級者の方の楽器を見ましたが、半数以上は大変弾きにくいものでした。安いからとかそういう問題以前の状態です。
良い楽器を手に入れるのは難しいもので、特に初心者では全く見当が付きません。これをごらんになった方の多くはもう既にチェロを購入したあとだと思います。生兵法は怪我の元ですから、指板を削るなどは避けるとしても、弦の高さや駒の位置、立ち方は見て分かるでしょう。それでおかしいと思ったら、誰に直してもらうか、です。駒の位置や、傾きなどは自分でやれると思いますが、でも、慣れていないと自分で動かすのは怖いですね。どうしても経験者のアドバイスが必要です。チェロの先生に職人さんを紹介してもらっても良いですね。
それ以外でも、良心的な楽器屋さんや、職人さんも都会なら必ず見つかります。
ともかく、調整のいらない楽器などはない、と考えてチェックしてみましょう。
自分の身の回りに何所にいるか分からないと言う人は、おおよその地区を書いてコメントしてくだされば、誰かが紹介してくれるかもしれません。経験のあるチェリストなら必ず自分の職人さん(楽器店ではない)を持っている筈です。そういう人を紹介してもらえば、ただ看板だけ立派な老舗なんかに飛び込むよりリスクは小さいでしょう。別に、このレベルの調整は大して特別なことをする訳ではないのですから。ごく当たり前のことを当たり前にやってくれれば良いのです。
投稿情報: goshu | 2008-07-22 13:56
yoshiさん こんにちは
おっしゃる通りです。初心者にとって実際どうするというのが難しい問題です。誰か経験者について行ってもらうのですが、その人がどれだけの知識があるかは分かりませんし。
でも、インターネットは便利です。読んでも分からないことを、科学的に写真や絵で解説しているサイトがあります。
「手作り弦楽器ミネハラ」さんのサイトです。
http://www.minehara.com/
これは、読んで面白いですよ。
投稿情報: goshu | 2008-07-22 14:21
この前チェロコンサートに行ったらコンサートマスターの弾かれたチェロの音の深く弾力のある音に一緒に行ったクラッシック音楽にまったく縁のない友達が「あれもチェロなの?」と聞くほど素晴らしい音でした後でその方にきくとチェロは普通車1台分 弓は軽自動車分との事でした、腕+楽器なんだなーと思いました。 ところで弓の事を教えてください。いつも使っている弓の毛が同じところでプチプチ切れてしまいます、なぜでしょうか買い時ですよね。週に1回レッスンに通ってる程度ですが弓ってどれくらいもつものですか
投稿情報: エリー♪ | 2008-08-06 17:27
チェロと弓で車1台半ならそれほど高くないですね。でもその車はフェラーリかも。
それはともかく、弓の毛は、1日1時間程度の練習の人でも普通1年くらいで交換するものです。沢山練習する人はもっと頻繁に毛を換えるでしょう。費用は7000円くらいでしょう。何しろ馬のしっぽですから、いつまでももつものではありません。古くなった毛は、どんどん伸びて弾力がなくなってしまいます。そういう古い毛は何もしなくても切れて行くでしょう。
この際、新しい弓を買おうということですか?弓を買う前に毛を張り替えてもらいましょう。
で、弓は、今度買うならせめて30万以上のものということになるでしょう。はっきりこれは違うと分かるほど違いのあるものを選ばないと後悔します。いくら店員や他人が良いと言っても、値段では決められないし、ちょっと良いくらいのことなら止めた方が良いと私は思います。色んな人の弓を使わせてもらうと良いですね。すると、こんなに弾きやすいのかって分かる弓と出会うかもしれません。その感触を基準に段々自分の感覚を高めて行く、・・・何事も、グルメになるのでもおいしい料理を沢山食べてみないと、味なんて分からないのと同じです。でも、そういう機会に恵まれることも難しいのが普通ですね。でも、分かるまでは買う必要がないと言うことですね。慌てることはありませんから。
投稿情報: goshu | 2008-08-06 21:19
教えていただいてありがとうございました。ネットで弓をみていましたがなにをどうえらんでいいのか分からず困っていました。慌てる事はないのお言葉にホッとしました。張りかえていだだくようにたのんでみます、教室の先生にチェロも弓も選んでいただいたのでいろいろなチェロ弓でひいてみたいです
投稿情報: エリー | 2008-08-07 21:52