チェロの調弦に関するセミナー?に参加。1時間近く実地での講習会。調弦は、楽器を練習する最初にやることですが、簡単ではありません。園芸で「水やり3年」という言葉がありますが、チェロの場合、当たり前で簡単そうで、とても3年では済みそうもありません。
弦楽器の調弦は、ピアノの平均率とは違って、人間の耳に一番自然で美しい響き、純正調の5度で合わせます。原則的には、チューニングメーターで1本づつ合わせるのとは違う訳です。最初のAの音(近頃の標準はチューナーの初期設定440Hzではなく442Hz)は、音叉だろうとチューナーだろうと、ともかくぴったり合わせればよいわけですが、その後が問題です。まだ、楽器の音も音程も分からない初心者なら1本づつチューナーで合わせる方が狂ったまま弾くより遙かによい訳ですが、弦楽器の響きを本当に楽しみたければ、いつまでもコレではいけません。更に毎日基本練習が自然と出来ると言う意味でもペグを使って調弦をすると言う作業は省かない方が良いことかも知れません。(その意味はこのあと)
ピアノでは聞くことの出来ない弦楽器のアンサンブルや無伴奏での何とも言えない澄んだ美しい響き、ハーモニー、コレこそ弦楽器の醍醐味であり、アンサンブルの目指すものでしょう。そのためにはたゆまぬ耳の訓練とボーイング。
調弦は基本の基本ですが、基本というのは、1回出来て通過すればもう良いというものではなくて、生きている間、楽器を弾いている間は、毎回毎回確認する必要があるという意味で基本なのです。
余計な前置きはやめて、調弦するために必要なこと、調弦はどうして難しいか、出来ないか、ということについて学んだ事を書き記します。
先生は先ず自分で調弦をし、それから生徒の一人に弾かせます。どうも合っているようには聞こえない。それは何故か。先ず、というか、結局は、ボーイングの問題。先ず、静かに重音を弾く事ができていない。2本の弦を均一に同じ音量で鳴らすこと、コレが出来ないと、音に歪みがでて美しい響きにはならない。
では、調弦の時はどういう風に音を出したらよいのか、それはボーイングの基礎。弦というか楽器を自然に鳴らすこと。力が入った弾き方だと、それは弦を鳴らしながら同時に響きを止める作業をしていることになる。(実際に脱力出来ている音と力の入った音を弾き比べればすぐに分かる。ついでに、「鳴らしながら同時に響きを止める」弾き方の例は、弓が弦に直角でなく上下に移動する不安定なボーイング))
肩の力を抜いて肩を下げ、ヒジも下げ、手の形を綺麗に保って弓に腕の重みを乗せる。力が抜けていれば、右肩の横の筋肉を左手の指で押してみたら硬くなっていないのが分かる。弓を動かさなければこれはとりあえず出来る。
それから静かにゆっくりと音を出すが、その時無理に音を出そうとしない、大きな音はいらないのだから、いったん音が鳴ったら後は弓の毛と弦との摩擦を感じる速度と重みで腕を動かす。1本の弦を弾くときの重みが1.0としたら、2本の場合は、0.6と0.6というくらいの感覚。弓の両端を無理に使わなくても良い。毛の当たる部分は普段より少し指板よりに上げても良い。2,3弦を弾くときそこそこ出来ても、1,2弦を弾くときは、腕の位置が変わって難しいが、肩、ヒジはそのままで、手首を上から糸でつり上げるような感じで練習する。
ピアノでは聞くことの出来ない弦楽器のアンサンブルや無伴奏での何とも言えない澄んだ美しい響き、ハーモニー、コレこそ弦楽器の醍醐味であり、アンサンブルの目指すものでしょう。そのためにはたゆまぬ耳の訓練とボーイング。
調弦は基本の基本ですが、基本というのは、1回出来て通過すればもう良いというものではなくて、生きている間、楽器を弾いている間は、毎回毎回確認する必要があるという意味で基本なのです。
余計な前置きはやめて、調弦するために必要なこと、調弦はどうして難しいか、出来ないか、ということについて学んだ事を書き記します。
先生は先ず自分で調弦をし、それから生徒の一人に弾かせます。どうも合っているようには聞こえない。それは何故か。先ず、というか、結局は、ボーイングの問題。先ず、静かに重音を弾く事ができていない。2本の弦を均一に同じ音量で鳴らすこと、コレが出来ないと、音に歪みがでて美しい響きにはならない。
では、調弦の時はどういう風に音を出したらよいのか、それはボーイングの基礎。弦というか楽器を自然に鳴らすこと。力が入った弾き方だと、それは弦を鳴らしながら同時に響きを止める作業をしていることになる。(実際に脱力出来ている音と力の入った音を弾き比べればすぐに分かる。ついでに、「鳴らしながら同時に響きを止める」弾き方の例は、弓が弦に直角でなく上下に移動する不安定なボーイング))
肩の力を抜いて肩を下げ、ヒジも下げ、手の形を綺麗に保って弓に腕の重みを乗せる。力が抜けていれば、右肩の横の筋肉を左手の指で押してみたら硬くなっていないのが分かる。弓を動かさなければこれはとりあえず出来る。
それから静かにゆっくりと音を出すが、その時無理に音を出そうとしない、大きな音はいらないのだから、いったん音が鳴ったら後は弓の毛と弦との摩擦を感じる速度と重みで腕を動かす。1本の弦を弾くときの重みが1.0としたら、2本の場合は、0.6と0.6というくらいの感覚。弓の両端を無理に使わなくても良い。毛の当たる部分は普段より少し指板よりに上げても良い。2,3弦を弾くときそこそこ出来ても、1,2弦を弾くときは、腕の位置が変わって難しいが、肩、ヒジはそのままで、手首を上から糸でつり上げるような感じで練習する。
こういう風に静かで自然なボーイングで楽器をその本来の響きを引き出すように鳴らせなければ、調弦が出来ない。だから、調弦を見たらその人の実力が分かってしまう。(と言うことになるが、実際音大を受験するような学生でも課題曲の前の調弦の時点で厳密な意味でちゃんと鳴らせるものは1,2割らしい。)
もう1つ補足をしておきましょう。「重音は難しい」という人がいます。特に初心者。じゃ、単音は簡単ですか? むしろ正しいボーイングのためには、重音を弾く方が訓練になります。つまり、重音を弾くためには、弓の動く軌跡は直線でなければなりません。弦に対して垂直方向に上下にふらふらしたら重音は不安定なのですぐ分かります。ですが、単線だと隣の弦に当たるまでかなりの幅がありふらふら上下動しながらでも音はでてしまうのです。勿論こんなボーイングではいけません。だから、重音で上下動しないボーイングを練習するという考えもあるのです。その意味でも重音で調弦することはとても良いボーイング訓練になっているわけです。
(続く 次はペグを使った調弦作業の実際)
ときどき拝見しております。
興味深いテーマですね。響のあるボウイングとはどういうものかが少しずつわかってきました。もう何年も、レッスンに通っているのに。
曲に夢中になるとどうしても右手が荒んでくるので、自然なボウイングの練習が日々必要だと感じています。
5度の調弦が私はまったくわかっていないので、「続編」を楽しみに待っております。
投稿情報: うな坊 | 2010-06-01 22:11
うな坊さん こんばんは
本当に曲を弾き始めるようになると、音譜を追うことが関心事になって基礎的なボーイングとか色んな事が疎かになりがちですね。
「5度の調弦が全く分かっていない」…・ってこともないと思いますが、近頃はチューナーという便利なものが出回って、ペグを使って調弦するとか、重音で調弦するとか言うことは減ってきたのでしょうか。こういう事は社会の風潮という気もします。
弦楽器は、5度(ドとソ、ソとレ、レとラという風に音の間隔が5度ということ)、ギターは4度ですね。で、オクターブ(8度)に次いでこれは美しい響きなので、本当は調弦だけでも気持ちがよいですね。平均率で合わせるとそうは行きません。
投稿情報: goshu | 2010-06-01 23:26