何しろ発音が良い。バッハの1番のプレリュードを弾いてみると、実に気持ちよく鳴る。何より「しなやか」という表現がぴったりだ。硬い、強い弓だからと言って、弦に負けずに押さえ込める?と言うわけではない。むしろ、良い釣り竿と同じで、強くしなやかで、魚と戦って口を切ったり糸を切ったりしないで。魚と楽しく?対話しつつ釣り上げる、と言うようなもので、張りの強い弦を相手にして特に力を入れたりしないで、しなやかにしっとりと弦になじんで弦を鳴らしてくれる、と言う感じ。僅かのことだが、軽いせいか弓元でも重く感じないので、ぎりぎりまで毛をすべて使って弾くことが出来る。そうできると思うだけで、弾いていてゆとりがある。弓の速い返しも安心だ。試しに3番のプレリュードも弾いてみたが、難しいボーイングも楽に(私なりに)弾ける。すべては発音の良さに起因するのだろうか。楽器も弓も発音が良いというのは基本的条件だと思う。よく見ると、毛の幅が1mmほど従来のものより広い、さらに張られている毛がとても上質らしい。毛が消耗するのはもったいないのでオケ練は予備の弓にしようかな。
ともかく、弾くのが楽しい。ストレスなく練習できるのはありがたい。この歳で練習だけで大変なんだから足を引っ張る要素は少ない方がよい(^_^)。
これで、チェロとケースは2台、弓は3本となり、予備の弓をいつも持って歩くことができるようになった。贅沢というより普通かな・・
美しい鼈甲の毛箱もいい。ネジの部分はグレーで、これは水牛の角だろうか。両方ともタンパク質100%だから、手入れはちゃんとしないといけない。使用後は乾いた布で丁寧に拭く。鼈甲について調べたら、鼈甲職人はまだちゃんといて、汚れたり割れたりしてもちゃんと直してくれるらしいのが安心。
残された時間、楽しんでチェロを弾きたい。いつまでも愛用したいものだ。
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