このところ、バッハの無伴奏4番とヘンデルの2本のチェロのためのソナタ第3,4楽章を日課にしている。ヘンデルは来週合わせ練習がある。4楽章を合わせるのは初めてで、楽しみ。明るく朗々と響き渡るようで楽しい。一方、第3楽章は、その音を聴いただけで泣けてくるような暖かい音を出すのが目標(^_^)
バッハの無伴奏第4番はプレリュードを始めたばかり。この曲は、ケーテンからライプツィヒに移った頃に作られた曲らしい。それまでの流れるような音楽から一転しているのは、音楽的に恵まれた所から、官僚的で杓子定規な立場への環境の変化によるものなのかどうかが分からないが、ヘブライ的なメロディが入っていて、新境地ともいえるかも。とはいえ、そもそも弾きにくい調の上に、しょっちゅう半音づつポジション移動が繰り返され音程をとるのが難しい。脳みそにポジションラインを刻み込ませないと・・しかし、弾いていると感動を禁じ得ない。美しいメロディがあるわけでも無いのに、何が良いのかしかと分からないが(^^;)、密度濃く心にぐいぐいと入ってくる。つまらなく弾こうと思えばいくらでもそのように弾ける曲だろうが。
ところで、YouTubeにアップされている何人かの演奏をちょっと聴いてみたが、いやはや、色々あるもんだ。シフやウィスペルウエイはスタッカートで弾いているし、テンポもなにもどなたも別物。どれが良いともいえないが、カザルスを聴いてみると、やっぱり一番自然に聞こえる・・と言っても、昔、最初に聴いたのがカザルスだからあてにはならない・・。何が一番良いかって言っても最初に聴いた演奏がその曲の基本になってしまうからだ。一種の刻印付け。私なんか、ベートーベンやブラームスは、フルトヴェングラーからなかなか抜け出せなかった(^_^) あと耳なじんでいるのはワルターだ。
でも私はチェロを弾く立場?だから名演奏を聴いて感心してばかりいられない。自分で弾くのは聴くよりずっと良い。先日深夜のテレビ番組で小澤征爾を取り上げたドキュメンタリーがあった。その中で、アマチュアの演奏について、歳とった人たちがカルテットやってて、勿論技術的レベルは低いんだけれど、それが実にその音楽が好きで楽しんでやっている、それが感動を呼ぶって事がある、聞くほうも感動があるけれど、弾く方も心から感動して楽しんでいる、音楽にはその両面がある。プロが忘れているところがあるかもしれない・・というようなことを言っていた。確かに稀にはそういうこともあるかもしれない。ある曲がすごく好きでずっと弾いて練習していたりすると、それなりに弾けるようになるし、次第に熟成して味が出てきたりする。それにプロの演奏と言ってもその演奏全体、曲全体が感動を与えるわけでもなく、ほんの1フレーズ、極端に言うとたった1音がその日のすべてだったりすることも稀ではない。プロだから上手だから感動を与えられるわけではない、テクがすごければ感心はするだろうけれど。それに、そもそも人が結婚するとき、人が好きになるとき、すべての点が素晴らしいからなんてことはない、他の人から見れば欠点と思われることが魅力だったり胸キュンだったりするものだ。賢いから好かれるより愚かだから好かれるということもある。だから(?)、へたっぴなアマチュアだって本当に心から愛する曲に取り組んでいれば一瞬だけなら誰かに感銘を与えることも有るかもしれない。どこかそんな深いところを掘り当てることが出来たら、それに勝る喜びはないとしたものだ。
始めまして。
わたくしも、現在、師とのレッスンで4番プレリュードから始めています。ホントおっしゃるとおり、感動します。プレリュードの中では個人的に一番感動します。
スタッカートで弾く場合、よく響く所で弾けるという条件があるように想像します。
和室ですと、デタッシュで弾かないといけないのでは。そんなこと考えながら、鈴木秀美さんの解説書を参考にしています。
でも最終的には個人の裁量で弾くことになりますが。
投稿情報: ギターとチェロを愛する方 | 2014-11-04 17:15
ギターとチェロ、と言う方は結構多いですね。私も昔チェロを始める前まではギターでシャコンヌばかり弾いていました。
4番のプレリュードに似た?曲は、色々、ドッツァウアーにもあるし、ビラロボスのギターの練習曲にも同じようなコード進行のアルペジオの曲がありますね。まぁ部分的にと言うことですが抱く感情は同じです。こういうのが何故心に響くのか不思議です。(^^;)
投稿情報: goshu | 2014-11-05 16:25