チェロの弦の巻き方以前に、私が聞いた限り、自分で弦を交換できないという人が半分以上いるのがアマチュアチェロ界の現状らしい。切れるのが怖い、と言うのが理由の第一だ。考えてみれば私も最初の頃、怖かったし、何本か切った記憶がある。切れる原因を知ること、事前の用意をしておくこと、なんと言っても経験を積むことが肝心。
そういうことはさておき、何を考えて弦を巻くか、その1つは巻き上がりのペグの形(向き)である。
巻き上がりのペグの位置はなるべく弦に直角になる方が良い。平らになっていると、チューニングするとき力が入らない。ペグで微調整するには、直角に近い方が楽である。出来れば写真の2,4弦のように少し後ろに傾いているのがベストかも。だから、最終形がそれに近くなるように、最初のペグの穴に弦を通すとき、どれだけはみ出すかを決める。
ところで、弦が切れる原因で最大のものは、ナットの部分の弦の通る溝・スリットが、きつすぎて弦をストップしてしまうから、糸巻きの中だけで異常に張力が増して、その中であっというまに切れてしまうというもの。弦を張り替える度にここに鉛筆をこすりつけて、滑りをよくしておきましょう。
弦を切るのが怖い、と言っても、切れたときの音とか心理的ショックは大きいが、弦が切れて怪我した人とか、楽器を壊したとか聞いたことないし、バネがついてるわけでもないから、ただ、切れるだけだ。念のため、心配な人は、落ちた弦が楽器を傷つけないように表面にタオルとかおいておけば良いのではないだろうか。
弦の取り替えの時期だが、私は年に1度。音に変化がないように思えてもそういうことに関係なく時期が来たら取り替える。そして、弦を取り替えるときは全部1度に行うことにしている。低弦は高いし、切れないし、なるべく長く使って、1,2弦のみ取り替えると言う人が多いと思うが、これは、せっかく弦を新しくするのに、もったいないことだと思う。古いワインに新しいワインをつぎ足すな、とイエス様もけちを戒めている?。そもそも、低弦が鳴らない楽器は高音も鳴らないものだ。一弦だけ新しくするのと全部取り替えるのと、音は全然違う。替えてみたら分かる。楽器の調子がどうのこうのと言ってもほとんどは弦が劣化しているのが原因だ。逆に、調整をしたければ弦を全部新しくしてからやるのが良いかもしれない。
なお、弦を張ったら、駒の角度が、表板に直角にたっているかは再確認しておきましょう。当たり前のことですが。・・いや、この駒の調整が怖いというのも弦交換が出来ない1つの理由かもしれない。チェロの先生が、そういうこともチェロ弾きのたしなみとして実地に手を取って教えてくれると良いのですが・・。考えてみれば、私も何年も何年もかかって見よう見まねでいろいろなことを覚えた。もっと早くからこういうことも教育プログラム?に入れるべきでしょう。チェロは弾けても楽器のこと、楽器の扱い、弓の手入れ・・は知らない人が多いらしい。私もこれから気をつけて機会があれば覚えたことを伝達するようにしたい。
以上が基本的な事で、をたくの研究者は、通常のペグと弦の関係を変えてみたり、ペグの穴から沢山弦を出してみたり、それで音に張りが出たとか何とかやるものだが、どうなんだろうか・・あまり美しいものではないと思うので私はやらない。
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