いつもは松ヤニはラーセンと決めている。だいぶ昔、人の使っていたこれを試して1度付けてみたら実に良いあんばいだったのでそれからずっと使ってきた。弓も弦も音に大きな影響を与えるが、松ヤニも違いが出る。しかし、ずっとラーセンを付けていると、なんだかぴんとこなくなる時がある。その場合、いったん歯ブラシで毛についた松ヤニをこすり取るか、別の松ヤニを上塗りする。というわけで、今日は、メロスを塗ってみた。すぐに効果が出る。しっとりした弾き心地。「夢の後に」をニュアンスたっぷりに弾ける(気がする)。
ラーセンの松ヤニは、真空状態で製造した、ということらしいが、それはどういう結果になるかというと分子が均質になると言うことらしい。毛に付けたところをマイクロスコープで撮影したものを見たことがあるが、他の松ヤニと違い、毛に均質に付着していた。発音が良くかつ繊細で適度な粘りとさらっとした使い心地が根拠のあることだったと分かる。
ところで、メロスの松ヤニは、硬軟2種類あって気候により使い分けたりするようになっている。これはあるチェロの先生が、わざわざ電話で「これは良い!」とお勧めしてくれたもの。でも、しばらく使ってみたが私の場合では、それほど良いとも思えずラーセンに戻った。でも、多くの人が勧めている松ヤニだ。
松ヤニと言えば、缶入りのベルナルデル、もうとっくに製造中止で、骨董的価値がある。1度付けさせてもらったが、確かに素晴らしい。ヤフオクで7万位で売られていたりする。松ヤニはそんなに消耗するわけでもないから、7万でも安いものだと言えばそうだが・・・でも、プレゼントされたら嬉しい(ここ、強調。以前、フランスの焼き菓子のことを書いたら2人の人がプレゼントしてくれたのに味をしめて・・)が、自分で買う気まではしないなぁ・・・
ところで、余計なことだが、松ヤニは、演奏の直前ではなく、ある程度弾いた後に塗ってしまっておく。というのが良いらしい。つまり、毛が暖まった状態で塗った方が滑らかによくつく、ということらしい。
考えてみれば、大工さんも、道具は使った後で刃を研いでおいたり、手入れをしてしまい、仕事をするときはさっと使える状態にするものだろう。それがたしなみというものかもしれない。
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