テールピースを楽器につないでいるケーブルは、太いナイロン線のもの、スティールのものなどがあるが、いずれも8g、7gの重さがある。どーでも良いようなものだが、これをケブラーという新素材繊維で出来たコードに取り替えると、音が明るく抜けが良くなる。このケーブルは宇宙船や防弾チョッキなどに使われるほど軽くて強い。重さは、1gない。他の人にもお勧めして何種類か購入してみた。このコードは超微細な繊維で硬いからよく切れるハサミかワイヤーカッターが便利。
写真の一番上のものは、15m巻のケブラー 2mm径。真ん中の左から、ケブラー1.7mm径、ベクトラン1.5mm径、ケブラー1.5mm径をナイロンでカバーしたもの、下が、ケブラー1.0mm径にナイロンカバーしたもの
ケブラーは、フランスデュポン社が開発した素材で、生成色は黄色である。
ベクトランは、日本のクラレが開発したもので、生成色は黄色だが、黒に染色したものもある。
その特徴は、ネットでは詳しいことがハッキリしないので、糸撚メーカーに問い合わせて回答を得た。
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テールガット用新素材
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品名:VC100L11
径:約1.1mm
材質:ベクトラン®100%
引っ張り強度:569N(約59㎏)
重量:約0.813g/m
販売単位:50mボビン巻
製品単価:@\5,750/50mボビン巻
品番:KV100S10
径:約1.0mm
材質:ケブラー®100%
引っ張り強度:884N(約90㎏)
重量:約0.626g/m
販売単位:100mボビン巻
製品単価:@\9,050/100mボビン巻
※引っ張り強度試験:JIS L 1096準拠 定速伸長形引張試験機使用 引張速度:200㎜/min(温度20℃湿度65%RH)
最初に、1mm径のナイロン巻のケブラーコードを購入して試しに張ってみた。が、調弦の終了する時点で切れてしまった。2度やっても同じだった。チェロ弦の張力は張りの強いパーマネント弦で全部で60Kg程度だから、説明では、引っ張り強度はあると思ったが、考えてみたら、ナイロンカバーを含んでの1mm径であり、実際は0.8mm以下程度、さらに中のケブラーは、全く撚ってない単線の集まりだから、撚り糸に比べ強度は1割以上劣るものなのだろう。(強度は、繊維の太さ、糸撚の方法、気象条件などなどにより1本づつ実測しないと正確には測れない。)
上記のデータは生成された糸を撚り合わせて製品化しているものの実測データである。(この会社の製品は一般には販売されていないし100mも買っても使いようがない)
次に、ベクトラン1.5mm径のものを購入。これは黒く染色して撚ってあるものだ。これは、スズキのチェロに何事もなく装着に成功。もう1週間になるが安定している。私は日本製品愛好家?なのでこの細い1.5mmを使う。ベクトランは、ケブラーに比べ、紫外線や化学物質、水、摩擦などに耐性が強いのが利点だが、チェロのテールガットの使用には何のメリットもない。重さはケブラーに比べ実使用でわずかながら(0.07g)重い。
そこで、皆さんに配布するために、安全策をとってケブラーの1.5mナイロン巻をポチっと、あとから、間違いに気づき(ケブラー糸が撚ってなく、切った時、中の黄色の繊維が見えるのが嬉しくない)、15m巻のケブラー2mm径 黒に染色済みの撚り糸 を購入した。ついでに1.7mm径の生成色のままのものも1m。これは目立ちがり屋さん用だ。
色々あるが、ともかく、軽くて強いコードが良い。強さは問題なければ、軽さであるが、この中で一番重い、2mm径のケブラーコードでも、50cmで1g弱、実際には35cm程度に切ることになるので、重さは0.7g弱である。既存のコードに比べ1/10程度。
この違いが分かるか分からないかは人それぞれ。アメリカのチェロ専門ショップで買うと同程度のもので1200円(別途送料)。
所で、音色は永遠の課題だと思うが、無頓着と思える人も沢山いるのは意外だ。どんなに難しい、どんな名曲でもつまらない音だったら聴く気がしないし、弾く気もしないのだが・・。
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