私の愛用しているチェロは、素性のよくわからないものだ。買ったのは30年前、故佐藤良雄先生のお宅に預けられていた楽器で、色と形が気に入って購入。ラベルを見ると、Antonius Sgarbi Domoという人が1909年に作ったことになっているイタリア製。表板は古いイタリアの感じ、色はゴッフリラーのような深みのある赤茶色。胴もスレンダーで表と裏板はふっくらとふくらみがあり、美しい。
だが、もともとこの楽器を持っていた楽器製作家によると、このラベルはインチキで、表板はもう100年以上は前のもの(ナポレオンの時代)とのこと。何かで調べたところ、Sgarbiという人は、壊れた楽器を寄せ集めて作るのが得意で、材もブナとかを使う、とあったから、多分そうなのだろう。
というわけで、調整の相談をした佐々木バイオリン工房の佐々木にさんによれば「一目がらくた」(あの方は正直ですから)、寄せ集めで、(統一がないので)調整が必要。しかし、弾いてみると、名前とかブランドとか言う意味では価値がないがそのクオリティは非常に高い。誰もが羨むような音を持っている。現状で、弦も楽器に合っているし、微細な点はあるがわざわざ直すところは特にない。自信を持って使ってください。とのこと。
数年前、David Sayerというオーストラリアの製作家に頼んで、大幅調整(ネックの付け替え、バスバー交換、駒交換、エンドピン交換、全体の補修、補強などなど)をしてもらってすっかり弾きやすく音も強くなったのだが、なにしろ英語でやり取りは辛いので、このところ、佐々木さんに相談している。しかし、Davidの腕がよく何も訂正箇所はない。
ところで、アマチュアの中には弦を取り替えたら音が良くなったとか言ってる人がいるけど、弦を変えただけで音が良くなるならプロの職人はいらない。実際はそんなにいい加減なものではなくて、弦を取り替えたら楽器の微調整が必要になる。Davidも上の2本はラーセン、下2本はスピロコアのタングステン弦(実は調整前につけたことがあるがじゃらじゃらノイズばかりですぐ人に譲ってしまったことがある。しかし、調整後は全くそうした欠陥が消えた。1本8000円もするのに人に譲って損した!)を勧めたのでそのままだが、もし弦を変えたら調整に来てくれと言っていた。実は何度か色々と勝手に取り替えたがやっぱり駄目だった。大切なことはどんな音が欲しいか、ということでそれに向かって知識と技術を持った楽器職人と一緒になって楽器の調整、弦選び、再調整、そしてもちろん演奏法の工夫などなど幅広くきっちり追い込んで行く努力が必要。下の2本をラーセンのタングステンにしようかと思っていると佐々木さんに話したら、それはやめた方がよいと言われた。タングステンと言ってもいろいろあるし、同じラーセンでも性格が異なる・・・楽器との相性とか考えると今のままがベストのようだ。しかし、求める音に変化がでてくればまたご破算になる。
こんな風に楽器にも主治医がいるが演奏にも主治医がいる。倉田澄子先生によれば、レッスンとは診察でその時々の症状に合う薬としてエチュードを処方したり、養生法を教えたりするもの。もちろん本人の性格や生活習慣がわからないと正しい処方もできないだろうから、適当に自分勝手に薬を変えたり、違う医者にかかったりするのはよくなさそうだ。一律に同じエチュードをやるなんてことはないはずだから、そこが独学者の問題点。重病にかかっているとしても、やっぱりあきらめずにしっかり闘病しなくては。
1昨年佐々木さんからチェロの弓を購入したが、これも大変良いもので知り合いのチェリストに貸すと皆羨ましがっている。弓も楽器も良しとなれば、後は(そのことがよくわかっていない)本人が練習するだけ。
明日はいよいよ30年ぶりのチェロレッスン。人によれば、レッスンだからといってあわてて練習しても手遅れ。1人で練習しても上手にならないからレッスンを受けるのだから勘違いしては行けない。そうか、練習しても上手にならないから練習法を教えてもらうのがレッスン。今の状態でいくら練習してもやればやるだけ下手になる?・・・そこまで言わなくても・・・というわけで、ともかく、ありのまんまでやるっきゃない。
前にも書いたが、30年間コンピューターなら何台も買い替えているのに、楽器はずっと同じ。なにしろ、楽器に文句を言うほど楽器を弾きこなしていない、楽器の性能が物足りなくなるほど上手になってから楽器の文句を言うもんだ、と思っているから。不幸にも私の手元で30年間、愛称もなく(自分の楽器に名前つけてる人っているらしいけど そういうもんかな)考えてみれば不幸な身の上かも(^^;;
ゴーシュさん、明日は30年ぶりのチェロレッスン!
うちのブログに遊びに来てる場合じゃないわっ(笑)
お風呂には入ったかしら。東京に行くのですね。
道順は大丈夫かしら?雪は?
えと、えと、チェロと弓は忘れないで・・・って、なんだか私がものすごく焦ってる・・・・・・・・・落ち着け。
だって、30年ぶりなんておどかすから、緊張しちゃったわ。
バッハを弾くのですね。どんなレッスンになったか
明日のブログを楽しみにしてま〜す。
あ、、、疲れているかもしれないから、あさってでも(笑)
投稿情報: cello-rin | 2005-03-13 00:38