まだ、チェロを習い始めたばかりの頃、これが弾けたらもういいな、と思っていたのは、カザルスが録音していたバッハの「アダージョ」 。 無伴奏チェロ組曲とか、ドボルザークのチェロ協奏曲とか、そういう曲とは違って、優しい小品集の中の一曲。カザルスの意外な(組曲とかと比べて)親しみやすい一面がでている美しい滋味溢れる曲。 技術的に弾けるかどうかというより、ほんの少しでもカザルスのように弾けたら・・・(ありえない)
アマチュアでは何でも弾けるわけではないし、弾けるといっても到底満足はできないものばかり。そんな中で、一生に一度でよいから・・・という気持ちのものがたくさんある。57歳になっても20代の頃とそう考えや感じ方が変わるわけではないので(進歩がない)、もう残り少なくなってきても同じことを考えているのが、おかしい。
一生に一度でよいから・・・と言うのはかなり純粋な気持ち(^^)だなぁ・・ブラームスのピアノ四重奏が弾けたらなぁ・・・これは難しい、1人で弾くなら可能だが、後3人の気の合うメンバーを探さないといけない、これは一生見つかりそうにない・・・この田舎にいる限り音楽仲間を見つけるのはほぼ不可能。と、言いつつ今も練習しているのは、いつかそんな日が来るかもしれないから、もしチャンスが来ても上手になっていなければ見過ごさなくてはならない、それではいけない。あてがなくてもいつ本番が来ても良いように練習するのだ。
もし、結果が得られなくても、憧れを知るものには許された別の世界がある・・・
思い返せば15年以上前、「ストリング」というレッスン雑誌が創刊されたばかりの頃、紹介があって、現桐朋学園チェロ科教授の倉田澄子さんにレッスンを受けることになった。その様子を雑誌に載せるということだ。お金がかかるのかと思ったら、無料だという(^_^;)。
どうしようどうしよう・・何弾こうかと思って、どうせ一生に一度のチャンスだというわけで、どうせ教わるならと、フォーレのエレジーを弾きますと申し出た(今から考えるとアセアセ) そうしたら、それが弾けるならバッハの無伴奏も1曲と言われ、こっちも一生に1度だと1番のプレリュードを弾いた。つまり連載2回分を1日でやったわけ。
演奏は勿論ひどいが、そのレッスンの素晴らしかったこと、帰り道思い出しては嬉しさで笑いが止まらない。普段ハンバーグ定食しか食べていないのにいきなり高級フランス料理をご馳走になったような気分。倉田先生のレッスンはレッスンを受けたその時から上手になってしまう、と言うのが特徴だ。それに演奏もレッスンも愛情に溢れている・・これが音楽だ・・・この時の体験は一生忘れないだろう。それはともかく
他の人は、「一生に一度でよいから」ってどんなこと、何をしたいだろうか・・・でも、そんな気持ちを持てること自体が切なく悲しくいじらしいが、幸せなことかもしれない。人間、夢やあこがれ、祈り、畏敬の念、・・・自然に根ざしたそういう感情が必要だ。そういうものを持たない人が今の世の中にはたくさんいるだろう。
そうそう、バッハのコラールをチェロ用にフルニエが編曲したものの中に「わが心は切なる願い」というのがあって、これがシンプルだがとっても素晴らしい。
フルニエも気に入っていたのだろう、珍しく2回録音している。これも素晴らしい良い音で弾いてみたい曲の1つ。
goshuさん、お久しぶりです。
というか、私には「セロさん」の方がお馴染みなんですけど、、、
今、無伴奏の6番のプレリュードをさらっていて、何かヒントはないかなーと検索をかけていたら、偶然このブログに辿り着きました。びっくりです。お元気ですか?大変ご無沙汰しております。
一生に一度…。
「弾いてみたい!」だったら、私はなぜか、チェロのソロ曲ではこれといってないのですが、強いて言えばバッハの無伴奏全部かな…。どちらかというと、室内楽の方でその気持ちが強いかも。ブラームスのP4の3番とか、シューマンのP4を一生に一度はやりたいなあ…。交響曲では、ブルックナーの8番ですねー。
いつまでも、何かを「一生に一度でいいからやりたい!」という強い情熱を持ち続けていたいものです。
投稿情報: がんきち | 2005-07-04 16:19
わ〜い がんきちさんだ
ドイツにチェロの勉強に行くという話は聞きましたが、そうですか、今は6番ですか・・・う〜ん 無敵な感じ
私は、今レッスンから戻ったところ。まだ、ド、ドドッツァウアーです。20番をアンダンテくらいで弾いたらやり直してアレグロで弾けと言われた。(;_;)
でも、BrahmsのP4の第3楽章、Shumannの第3楽章もやるにはやりました。でも、ただ弾くだけじゃなくて、気持ちが1つにならないとね、つまらない、やるんじゃなかったと思ってしまいます。すばらしいすばらしいうつくしいうつくしい〜って5回くらい叫んでからやるような仲間が欲しい。
投稿情報: goshu | 2005-07-04 17:22
> ドイツにチェロの勉強に行くという話は聞きましたが
行ってない、行ってない。ぶるぶる。
ドイツには「日本語を教えに」行ってました。
でも、向こうでは今までで一番マジメにレッスンを受けたかもしれません。外国の人に教わるのはとっても刺激的でした。
ドッツァウアー、私は2番目の先生でかなりマジメにやりましたが、今はもっぱらセヴシックです…。ドイツ、オーストリア共にセヴシックが主流みたいですね。あれはいじめに近いものがあります。教える方に根気がなくちゃ、レッスンは続かないですね。そういう意味では、向こうの先生たちは本当に根気がある。2時間休憩なしで、ただ3と4の指のヴィブラートをやらされた時には、半泣きしました。
私もブラームスとシューマンは遊びで弾いたことはあるんです。でも、ちゃんと本気でいい仲間と取り組みたいですね。幸い、ピアノトリオ(いわゆる天トリですな)では仲間に恵まれているので、あともう一歩かなあ。。。特にブラームスの1番と3番は体力のあるうちにやりたいです…。
投稿情報: がんきち | 2005-07-05 10:56
がんきちさん
いいなぁ、トリオは私の知ってる天然美女トリオでしょうか。うらやましいなぁ
投稿情報: goshu | 2005-07-05 11:30