さて、調弦の仕方が分かったら、一弦Aの音をチューナーか音叉でとり、それに調和する純正調のDをとります。つづいてそのDにぴったり合うGの音、そのGに合うCの音をとります。これで、完全な調弦終了。
なのですが・・
ともかく、本当は正しい調弦を出来た後で、実践的には色んな事が起こると言うことです。チェロの音程というのは、大変微妙で、そんな微妙な話はへたっぴ素人の私にはカンケイナイのですが、例えば演奏中にボーイングで音程を変えたりすることも可能ですし、ボーイングだけでビブラートをかけることも可能です。それに音楽の内容や調正によって作曲家によって、とるべき音程は変化するでしょう。しかるべきふさわしい響きを作ることが目的で、私は正しいと主張する人(そういう演奏をする人が無数に沢山いる(^^;))とアンサンブルは出来ませんしね。
ただ、しつこいですが、純正調の正しい完璧に美しい響きは弦楽器の命だと思います。これを知らずに弦楽器を鳴らすことは出来ません。それは絶え間ない訓練によってのみ可能です。それを可能にするのが日々の調弦である、というお話しでした。
(余談ですが、調律と言うことに関して、私が昔小さなチェンバロを買った時ですが、チェンバロは自分で調律しなければなりません。ところが、この調律法には本1冊書けるくらい色々ある。最初にAをとり次に5度上の Eをとる。純正調の美しい響きです。次にこのEを基準に下の例えばb をとるその時、美しい響きを作ってから、下の音が1秒間に3回うなるように低くとる・・・とか言うことをやっていくのです。そのうち最初の弦も狂ってくるからやり直し、というわけで調弦に凄く時間がかかる。けれどこの調律自体が快感なんですね。チェンバロ奏者は耳がよいし、忍耐もいるし、演奏は即興ですし、凄く尊敬しますね(^_^) たった4本のチェロの調弦が大変だったらチェンバロなんて無理です(^_^))
さて、最後に蛇足。チェロに張った弦はペグに巻き付けられた部分と、ナット上のスリットを経過し、駒の上を通ってテールピースにつながれます。アジャスターで調弦すると、テールピースと駒の間の弦が緊張を余儀なくされ、逆にペグで調整していると、ナットの上とペグまき付けの間(糸箱の中)で緊張がより強くなります。なるべく弦全体の緊張は、美しい響きのためにも弦を長持ちさせるためにも一定の方が良いと思います。ついでにいうと、ペグで調弦すると、ペグ方向に弦が引っ張られるので、駒は指板側に傾く傾向があり、アジャスターで調弦すればそちら側に傾きます。このことを知って駒がまっすぐ立つように調整しないといけません。
そこで、ペグで調弦するようになると、ナット上のスリットの中を弦がスムーズに動いてくれないと困ります。これがストッパーの役目をするようになると、いくらペグを回しても弦が動かず、糸箱の中の部分だけに緊張が偏り、A線などの細い弦で弱い弦だと時によっては切ってしまいます。弦が切れた時、どの部分で断線したかを確認して、糸箱の中であれば、スリットは詰まっていないかチェックした方が良いです。大体の楽器は、調整がされているものですが、弦を変えたりすると、このスリットで摩擦が強すぎてストッパーになってしまう場合もあります。それで、このスリットをたまには(弦を交換する時でも良い)掃除して、かつ鉛筆でここをこすって滑らかにしておくことも、ま いわゆるひとつのたしなみです。(^_^)
詳細な記事、ありがとうございます。ご一緒させていただきました、ナイトウです。
丁寧な、かつわかりやすい解説で、確認できた点、多々でした。昨日早速挑戦してみましたが、どうもペグを動かすのに、ボウイング同様、別のところにかちかちに力が入って、上手く動かすことができませんね。やっぱり……と折れそうになっていたところでしたが。goshuさんの記事に元気づけられて(?)とにかく慣れろってことですね……がんばりま〜す。
投稿情報: ナイトウ | 2010-06-02 15:00
ナイトウさん こんにちは
ペグは動かさないでいると本当に使いにくいものになってしまいますね。昔は、硬すぎるとクレヨンを、緩すぎると白墨を塗ったりしたものですが、あれはあんまり良くないみたい、綺麗に掃除して、ともかくぐりぐり回してなじませる方が良さそう。で、やっぱり職人さんに調整してもらうのが一番かも。面倒ですけど、1度やれば済むことですから。
投稿情報: goshu | 2010-06-02 16:21
初めまして。
goshuさん
> ピアノの響きと合わない事がありま
> す。そこで、音楽全体のためにチェ
> ロ族は妥協して、G線、C線をホンの
> 少し高めに調弦するなどのことをし
> ます。
やはりそうなのですね。まかべさんの
ページで「5度調弦をしてCを低い状
態のままで使う」というような内容の
ことが書かれていたので、「じゃ、ピ
アノと合わなくなるのでは?」との疑
問が涌きました。普段、私は、フラジ
オでA線から調弦するときにD線は私
の識別限界程度に高く調弦してきまし
た(D→G,G→Cも同様)ので、私は
まずいことをしていたのか?と疑問に
思いました。
投稿情報: SKG | 2010-06-03 10:50
はじめまして。
このブログは毎回読ませて頂いています。
goshuさんの鋭い切り口に、コメントを書くと大怪我しそうで遠慮していました。
調弦、試してみました。ペグでの調弦は初でしたので感動しました!
調弦方法等を詳しく公開して頂けると本当にありがたいです。
私の先生は、仕上げてきたのを見ますという先生なので、CD、DVD、youtube、ブログ等を駆使してレッスンに臨んでいます。だから、練習曲や小曲等は、見てもらう3ヶ月先からはじめないと間に合いません。
最近、先生の指導姿勢に疑問を感じ始め、深く悩んでいるところです。
調弦も、時間が無いからという理由で、買う時に一度ペグで調弦済みであれば、毎日練習していれば、大きく狂う事は無いはずなので、ペグは使わず、アジャスターで調整すれば良いと言われていたので、その通りにしていました。
まかべさんのブログを見て羨ましいと思っているところに、詳細を公開してくださったので、願いが叶ったかのように嬉しく思いました。
また、楽しみに拝見します。
投稿情報: さくら | 2010-06-03 17:17
さくらさん こんにちは
「鋭い切り口」というのは誤解です(^^;)書き方に配慮がなく乱暴なだけです。持って回った言い方が面倒なので、誰かを傷つけたり誤解されるのを承知で、長くつきあえば分かると、えいやっと書いているわけです。気楽にコメントを書いていただければ嬉しいです。斬りつけたりしませんから(^_^)
「ペグでの調弦で感動」って真理に出会ったわけですね(^_^) そう、感動ですよね。絶対的に美しいものを知ったわけですから(^_^)
さて、レッスンの先生についての疑問や悩みは多くの人が持っていると思います。と言うか、近頃チェロブームで「先生」が急増したのも原因だと思いますし、こんなに大人が沢山始めると先生も戸惑うと思います。色んな人の話を聞いていると、私が教えた方がよっぽどいいぞと思ったりするケースも稀にあります。(私は教えられませんが)大人には大人の教え方がありますよね。
もし疑問があれば、どこかに書いていただければ、その問題点について「解説」をすることは出来ます。先生の言っていることはこういう意味である。しかし、本当はこう教えるべきだ・・とかなんとか。そういうコーナーを作りましょうか・・・。先生を替えるってことも大きな問題ですよね。でも、間違っていなくても、相性が悪いのに我慢することもありませんし・・・
投稿情報: goshu | 2010-06-03 17:54
ご心配頂きありがとうございます。
発表会が8月の初めにあるので、とりあえずそれまでは、様子をみます。でも、いずれ別の先生にすることになるかもしれないと感じています。
まずは、練習!「上達すればおのずと道は開けるby goshu」の名言を頼りに地道に努力します。分からない事が出て、自分で解決できそうも無い時、コメント欄に書き込むかもしれません。その時は、宜しくお願いします。
調弦は、ペグを動かす時、グキッと木の割れるような嫌な音がした後、弦が緩み、巻きなおす時、反対の手の指の腹で、弦を触り、張りが感じられてから、音出しをしました。
ここぞ!というところでぺグを持つ手を止めても、1~1.5度下がってしまいます。繰り返すうち0.5度下まで縮められます。運がよければ、0.3度(この言葉は無いかもしれません)下でとめる事が出来ました。
後は、弦が切れないように祈りながらペグを回すか、アジャスターで調整するかです。
どちらにしても、音が交じり合う瞬間がたまりません。1弦ごとに合わせても同様の満足感がありました。
でも、弦が切れる怖さがあります。
実際には、構えながらの作業なので、弦が切れても、自分の方に飛んでくる事はなさそうなのですが、今度は財布のほうが心配なもので。。
ただ、この調弦は病みつきになりそうです。
スリルと興奮ですね。
投稿情報: さくら | 2010-06-03 21:08