昨日は月に1度のチェロアンサンブルの練習日。朝から晩まで練習。一人で練習していてもなかなか気がつかないことが少人数のアンサンブル練習で気がつくことが色々ある。音程もそうだし音量や音質も・・
基礎が大切・・と言うのは何度も聞いているし、その意味を書いた事もあるけど、改めて又基礎が大切だと思った。基礎練習というのは初心者だけのものではなく、どっちかというと経験を積めば積むほどその意味が痛いほど分かるような性質のもの。
大体、1フレーズを滑らかに弾く事が難しい人が多い。弓の返しの度にアクセントがつき、意味なく大きくなったり小さくなったり、殆ど弓の都合で凸凹になる。クレシェンドと書いてあってもデクレッシェンドと書いてあっても、フォルテもピアノもましてやピアニッシモなどないも同然。書いてあることに気がつかない人も多いし、自分の出している音がどんな状態か気がつかない人も(私を含めて)かなり多い。
「気を付けてそうならないようにしましょう」と言う指摘を受けても殆ど無意味。そうできるものならそうしたいのにできないから。一般の大人に対してそれ以上突っ込んで「指導」するのは僭越だから、紳士として後は笑って「難しいですね」と言って終わり。
基礎というのは何事でもシンプルな事だ。基礎と言うくらいだから、肝心のことはわずかしかない。大概は、脱力、自然な形、と言うことになるだろう。そんなことならあえて練習など必要ないではないか、と言う理屈だが、立って歩いて食べて寝るような日常活動とは違うことをやるのだから、狼少年に二足歩行を教えるように困難だ。特に問題なのは、チェロを弾くために必要な筋力アップや柔軟性は、意識してそれだけ取り出して基本の基の練習をしなくては始まらないと言うこと。基本の基が出来てやっと基本練習が始まる。
音階練習や、簡単な練習曲をする前の段階で、基礎が理解され意識されていなくては不効率だ(これはレッスンの段階という意味ではなく、練習の構造上?の問題)。子供には必要ないことだけど、大人になって始めた人は、子供なら言われなくても自然にできる事を意識して鍛える必要がある。筋肉の柔軟性や瞬発力は子供なら自然に発揮できるが大人にはできない。これを練習しなくてはならない。この基本の基本練習は、少しやったら出来上がりというものではなく(ハ長調の2オクターブの音階練習なら10回連続して確実になったらもう一応出来上がりと言えるかも知れないが)、基礎のコツを理解してその後ずっとどんな場合でも心がけ、常に練習すると言う意味で、基本の基。この基本の基を理解しないでただ漫然と練習曲を弾いたり色んな曲を弾き散らかしても、結果は悲惨なものだ。
最初に戻って、1つのフレーズの中で、安定して弾けない、それは音楽的でないし聞きづらい。だから「レガート」で弾くというのは、大切な事。まず、自分がぎくしゃくした音を出していることに気がつくことが先決。大概の人は先ず自分の音を聴いていない!・・それはともかく、何故、レガートで弾けないのか、先ずは自分がレガートで弾けていないことに気づくこと!、それから、問題の1つは、ロングトーンを安定して弾けない(ロングトーンの練習をすればよい)、弓の返しがスムーズにできない。また、左指の準備が遅いかつ不合理な動きをしている。
弓の返しの練習。よろしくない現象は、弓の先に行くと音が細り慌ててスピードを上げて弓を返す、弓元に来ると段々音が大きくなりそのまま景気よく弓を返す・・どんな音になるかは想像に難くない。これをピアノで静かに歌うきれいなフレーズでもやらかすから音楽の破壊になる。行進曲専門のアマチュアが五万といる。一緒にアンサンブルしたくない人達だ(^_^)
そうならないように気を付けましょう・・と言って済むものとは思えない。基本の基のない人が気を付けてもたかが知れている。気を付けてなんとかするのは付け焼き刃というもので、気を付けなくても自然にできているくらい、基礎練習を積まなくてはいけない。気を付けずに基を付けよう!
セブシックの40の変奏曲というのがある。IMSLPでもダウンロード出来る。これが弓の返しの練習に良いと言われているもの。アップアップアップと素早く弾く時、手首はなるべく使わず、指だけで弓を送り素早くバネのように戻す。速く弾く時歯切れが良くなるし、ゆっくした時でも習得したこの動きで指の柔軟性を生かすことができる(ということになっている)やってみると非常に疲れる。日常生活でこんな事はしないからだ。でも、これで基礎的な柔軟性や筋力を付けなければ、弓を自在に操ることは難しいだろう。親指ポジションの練習をして左親指にタコができるのと同じ事で、それをしなければチェロが弾けるようにはならない、基本である。脱力・自然体・・と言うのはスローガンで、それを実現するには、それに反する?練習が必要。いわゆる即身成仏、180度の転回である。あっちこっち歩き回らなければ幸福の青い鳥が家にいたことに気がつかない。
いちいちごもっとも。ところでセブシックの40の変奏曲、私も練習してみたいので、URLまたはどこを見れば良いか、ヒントをもう少しいただけましょうか?いろいろ書くことも大事ですが、その情報1つで人生が変わる人がいるかも知れないので。それは私かもしれないので。
投稿情報: cellokko | 2011-09-12 09:26
セブシックの40の変奏曲、バイオリン版をフィヤールがチェロ用に書き直したものです。
http://imslp.org/wiki/40_Variations,_Op.3_(Ševč%C3%ADk,_Otakar)
業務連絡?:イベントには不参加です。
投稿情報: goshu | 2011-09-12 09:41
ボーイングの基礎については、非常にシンプルでこれだけ練習せよと、アンドレ・ナヴァラがレッスンしている様子がYouTubeに載っています。これを見てから練習するとよいでしょう。URLは各自で(これも勉強)探し当てて下さい(^_^)
投稿情報: goshu | 2011-09-12 09:45
ご無沙汰です。
こういう基礎練習曲、良いですね。
あれこれ眺めていて、実はセヴシックの作品2-1をしこしことやっています。
さすがに気が遠くなる時もあります。
40のエチュード良さそうですね。
ついでに見ていたらダブルストップの練習のチェロ版も欲しくなりました。
あのシリーズであるかもしれません。
投稿情報: えにお | 2011-10-03 04:59
えにおさん こんにちは
歳をとってくるとすぐ調子が悪くなり、スランプ?になるのが早い、ような気がします。そんな時、少し基本練習をやると音が見違えるようになりますね。効果絶大。
それと、調子悪いなぁと感じることができるのも基礎練習のおかげで上達した証拠なのでしょう。
投稿情報: goshu | 2011-10-03 10:50