借りていたフランスのチェロを弾いていて分かったこと。腕じゃない、楽器だ(^_^) 丁寧に作られて50年を経過したこのチェロ、音が明るく伸びて弾いていて気持ちが良い。小さな傷をお化粧してもらって、本日うちの子に(^^;)
若くて健康な楽器を弾いていると、その音の輝きというか生命力のようなものに触発されるところが大きい。これまで明るい音なんてまるで好きでなかった(軽蔑さえしていた)のに、理屈抜きで、命が命に勝手に応えているような感じ。これまで弾いたすべての曲を弾き直したくなる。これまで見えていなかったものが見えてくる可能性。これまでしっとりした曲が好きだったのに、このチェロだと「歌の翼に」というような曲を弾いてみたくなる。青い空、白い雲、前途洋々、これから人生が始まるかのような気分。
このチェロは、数年前に亡くなったドイツのチェリストにしてコレクターの所有していたもの。1964 年製のフレンチ。ヒビや割れなど傷は一切なく、きちんと作られた素性の良い健康な楽器(健康だけが取り柄で鳴らない楽器も数多いが、これは違う)、とのこと。特殊なニスで、細かなひび割れのような意匠になっている。これがなかなか良い。何よりヴォルフが目立たないので、弾きやすい。低音は軽めだが、ともかくまんべんなく音が出る。一応、定番弦である、ADはラーセン、Gはスピロコア、Cはスピロコアタングステンを張ってみた。新しく作った駒は、やや高いので、来年の春以降に、ネックまたは指板の調整をした方が良さそうだ。借りていた時の駒は少し低くて、音によっては何かくすんだような音がしていたが、今回は、そういうものが消えて、均一に鳴る。
まだ、弾いて間もないので、これから慣れてきたらどんな音になってくるのか楽しみ。
音は、オールドイタリアンに比べるまでもないが、完璧な楽器などあっても買えるわけないし弾きこなせないだろう。楽器選びのことは素人だが、人間、大事な事は素人でも差し支えない。これは結婚と同じ。美人で賢くて性格が良くて金持ちで・・とかなんとか条件の整った人がいたとしても、だからといって結婚するわけじゃない。大体そういうことに魅力を感じるわけじゃないし、むしろ愚かさや欠陥に惹かれたりするのだ。この楽器だって欲を言い出せば切りがない。ニスがもっと赤ければとか、木目がもっと細かくてまっすぐだったら、とか、しかし、そうじゃないから、そこが良いとも言える。安い楽器でもやたら見かけのきれいな楽器も珍しくない。そういうのも見ていると、そういう外見ではなく、材料を最大限生かして丁寧に丁寧に作られた楽器の好ましさ。完璧ではないから、そこに自分の入る余地がある。世間の評価とは別に何か訳の分からないところで魅力を感じるところがある。楽器だって弾き手との長い付き合い、2人で1人前になれば良い。ま、ともかく、楽しみだ。お互いに触発し合って、誰にも真似できない音を作っていきたい。
と、おもったらそうでもなかったみたい。懇意にしている職人さんに見てもらったらいくつかの問題点が。ネックとか指板とか・・とりあえず、魂柱を造り替え、後は年が明けてから、ちょっと工事をする必要。ただ良いのは、明るく鳴るのにうるさくないという点(大きくてうるさい音嫌い)。弱点の裏返しという場合もなきにしもあらず、ですが、良いところを大切に、改善していきましょう。弦選びもなかなか大変そう。
投稿情報: goshu | 2011-12-17 00:08
低弦2本をパーマネントにしてみる。C線が音がひっくり返りやすかったのが改善し、音に落ち着きがでた。パーマネントの低弦は、タングステン巻で細いので、発音が容易で、弾きやすい。これ、正解。
上2本を試しにイタリアンに張っているパーマネントにしてみると、ラーセンだとふわっとし過ぎるのが、適度に芯が入ったような感じ。一応、上2本を注文して送ってもらおう。両方のチェロ共パーマネントになりそう(^_^)
明日はエンドピンをカーボンにして試して見よう。しばらくこういう事が続きそう。
投稿情報: goshu | 2011-12-18 22:01
家族が増えておめでとうございます。
二台を使っていくって大変でしょうね。
「ルリユールおじさん」という、チェロには何の関係もない絵本を読んで、
フランス製チェロがすごく欲しかった頃がありました。
とても気に入って、相当考えた楽器もあったのですが、
結局違うチェロを迎えました。
マルセイユ生まれでしたね。
この前、お店に行ったらまだ残っていました。
しかも、二割引・・・
でも今の楽器に大いに満足しています。
ピカピカの新作、製作者本人が、「健診」してくれます。
楽器の健康状態って大事ですね。
投稿情報: えにお | 2011-12-20 04:57
えにおさん そんな良いチェロが何故売れ残るのだろう・・・?私のもマルセイユ生まれです(^_^) 新作チェロも欲しいけど、できあがるまで待てない、もう時間がない(^_^) 中古が一番。健康で、安定してるのは、20年から80年位前までの楽器ではないかと推測していますので、私のマルセイユ生まれの中古はまぁまぁです。
投稿情報: goshu | 2011-12-20 10:04