ロングトーンの練習は非常に大切だ、と言う話はあちこちで聞かされるけど、どういう風に練習するのか分からない、と言う人がいたので、私なりに(へたっぴの言うことだから余り信用は出来ないが)解説?してみよう。
というか、アンサンブルで、破壊的な音を出す人はロングトーンの練習をしていない人だ。アップボーではクレッシェンドし、ダウンボーでは段々音が消えていく。弓をコントロールできないから、その時々の弓の都合ででたらめな表現?をする。長いメロディを安定して弾く事ができず、切れ切れになるから、メロディにならないし、勿論歌えない(上手と言われる人でもそういう人が沢山いる)。長いフレーズともなれば、まるで駄目。フォルテで刻むときだけ活き活きする。それでも本人は楽しく音楽をやっているつもり・・こう言う人はクラシック音楽に向かない。楽隊で行進曲でもやるしかない(こういうことを言うから嫌われる(^^;) だけど怒らないで最後までお読み戴ければ幸いです(^^;))
音楽に変化を与えるためには、まず安定してフラットな状態を保てなくては、コントロールできない。テンポを守って弾けなければ、自由に弾く事ができず、ただの酔っ払いの音楽になるのと同じ。
では、実践。3弦 G線が一番やりやすいので、この開放弦で先ず練習。最初に弓の元から、きちんと発音する。これが出来なければ先には進めない。ガギっとかヒャーとか変な音を出さずに、深呼吸して息を吐きながら最初から重みをかけて良い音を出す。いったん音が出たら弓の圧力を落として、肩や腕の力を抜き、ただただ、弓の重みと弦の摩擦だけで音が出るかのように、ゆっくりと弾く。ダウンボーで一弓12秒が最初の目標。この時、注意するのは、弓の速度は変わらないこと、6つ数えたら弓の中央に来ていること、音の大きさも変わらないこと、ずっと同じ(太くて良い)音を出し続ける。これが出来るためには、弓は弦に直角で、上下動しない事、弓の毛は全部当てること。アップも同様。毛のついている部分は全部使うつもりで。簡単そうで、そう簡単じゃないのはやってみれば分かる。出来てるつもりでも少し練習を怠ると出来なくなる。12秒が出来るようになったら、もっと長く20秒くらい出来るようにする。他の弦でもやってみる。
これを練習の最初に1日2分でも3分でも良いから必ずやるようにする。2週間もやれば、かなりボーイングは進歩するはずだ。
私が3人目の先生に2度目の「白鳥」のレッスンを受けた時、先生から言われたのは、「ロングトーン」と「弓の返し」の練習をせよ、と言うことだった。弓の返しもボーイングの基本の基。これには色々な方法があるらしいが、ともかくも、返しの時に音量・音質を変えないこと、多くの場合、返しの前後で弓の速度が上がってしまう(ビールをつごうとすると慌ててコップの残りのビールを飲み干すのと同じ感じ?)。これを極力注意して同じ速度でアップダウンの切り替えをする。
これについては、アンドレ・ナヴァラの素晴らしく丁寧なレッスンがYOU TUBEに掲載されている。手首がグニャグニャしているように見えるが、実はそうではなくて指が柔らかいのだ。主導するのは肘、指の柔らかさ。特に小指の動きが重要。
ちなみに言われたとおり一生懸命練習していたら、1ヶ月後、次のレッスンの時は先生より上手になっていた。先生は苦笑いしたが、先生でも練習を怠るとうまく出来なくなる、そういうもの。
細かい理屈はともかく、ロングトーンと弓の返しは、ひたすら、均一の音が持続するように練習する、これだけ。コツもへったくれもなく、耳でよく聴いて、ひたすら練習。
少しでも出来るようになったら世界は一変する。やっていない人が2週間でもこれを続けたら、必ず変化があると思う。例えばアンサンブルの(ただ簡単だから、他に弾けないからと言う理由だけで選んでいる)4番パート、通奏低音のような長い音、ただ何とか音が出せるだけでなく、余裕を持って音楽を考え感じながら音が出せるようになる、雲泥の差。ロングトーンを習得した場合では、音楽の楽しさ、音符の大切さを実感するだろう。それは子供と大人の差くらいある。
ちなみに、いつもお世話になっている某さんは、30年間ともかくロングトーンの練習を続けて、やっと近頃どうやったら音が出るのか分かるようになって来た、とおっしゃっていた。
ロングトーンはボーイングの基本の基、ここから理屈抜きに学べることが沢山あると言うことだ。
いつも良い記事をありがとうございます。
リーダーに登録してもれなく拝読しております。
チェロを習い始めて約1年の者です。
ロングトーンの練習、早速練習に取り入れました。
もちろんまだ成果はみえませんが、やっていて
なんとなく手応えを感じる練習だと思います。
今後が楽しみです。
ありがとうございます。
投稿情報: ボージー | 2012-07-15 19:24
ポージーさん、今晩は
ロングトーンって、フルートでもバイオリンでも必ずやっていますね。フルートなんかでも、これをちゃんとやっていない人は、聴いていてこっちが苦しくなる感じがします。フルートの場合は、息が不安定だと音の大きさだけでなく音程も変わるので、この事がよく分かります。無理をしないで少しだけでも出来る範囲で練習してみて下さい。長く続けることで必ず成果の出る練習です。
投稿情報: goshu | 2012-07-15 20:55
始めまして、今日このサイトに出会えました。私は昨年勤めを退職し憧れのチェロを始めたものの難しくて悲鳴を?上げてます。「ロングトーンの練習」懇切丁寧な説明は有り難かったです。しかしそもそもロングトーンの事が今ひとつ理解できていません。そして、右の親指が痛くなって長時間の練習は出来ません。何かアドバイスを頂ければ有り難いです。よろしく!
チェロ子
投稿情報: チェロ子 | 2012-07-18 23:27
チェロ子さんは レッスンに行ってらっしゃいますか?楽器は先生につかないと弾けるようにはなりませんので。右の親指が痛くなると言うのは最初はみんなそうです。そのために間違った抑え方に自然になったりします。みないと何とも言えませんが、楽に持つためには、血圧計のゴムバンドみたいなゴム管を買って来てそれを指の当たるところにつけたり、毛皮のサックを作ったりしている人も多いです。
「弓カバー」でサイト内検索をしてみて下さい。
http://cello.weblogs.jp/goshu/2010/09/弓カバー.html
投稿情報: goshu | 2012-07-19 11:58
アドバイス有難うございます。
楽器店でグループレッスン(2人です)を受けてます。やはり個人の方がいいのでしょうね。限られた時間内で余り質問が出来ないのも悩みです。ゴムチューブを求めようと思ってます。 コメント頂いて気持ちが軽くなりました。
投稿情報: チェロ子 | 2012-07-23 23:30