テールピースで音が変わるのはもう誰もが知っている事実だろう。そのテールピースの材質や形状も進化を続けている。エンドピンもそうだしアジャスターも・・。でも、私自身はもう完成形(^_^)とおもって関心がなくなっていた。が、最近注目しているのは、これ。Frirsz Tailpiece。ネットで調べたら、信頼すべきチェリスト長谷部さんのブログに記事があった。
この航空機に使うという合金製のテールピースは、アジャスターが取り外しできるらしい。これは得点高い。あれは基本的にない方が良いと思うからだ。ただ金属というのが気になる。高周波の倍音が発生するというのだが・・。
人間の感覚というのはシンジラレナイほど繊細に出来ている。例えば、江戸の職人は長箪笥の上面を真っ平らには作らない。ほんのわずか紙1枚ほど中央を低く反らせて作る、こうすることで、表面が平らにスッキリと見えるからだ。言われてもそうは識別できなくても、何となく、スッキリ気持ちよく「美しい」と「感じる」、と言う世界である。これが当たり前の事として職人は技術を伝承する。
さて、長谷部さんの記事を読んで、(YouTubeにもいくつか動画がアップされているが、音質が悪く、よく特徴が分からない)、気になったことがある。ウリの1つである、ウルフが軽減されるというのが、効かなかったらしい。でも、音は大きくパワフルだとか、一方、木のテールピースの音質が消えるとか何とか・・これは問題だ。ところが、ケーブルをガットに変えることで変化が・・。
ケーブルも色々ある。太いナイロンコードや細いスチール・・私が愛用しているのは、Les Bois d'Harmonieの計測出来ないくらい軽くて細い繊維が編み込み式になったケーブル。自然な倍音を消すことなく豊かに音が広がる。Harmonie Kevlar Tail Cord。鉄より数倍の強度があり、伸びることもない。以前7本くらい輸入して知人に配ったことがある。震動系は硬くて軽いものがよいという理屈。
が、長谷部さんによると自然のガットを使ったものがあるらしい。試してみたい。この辺は難しい。好みも楽器の特性もあるし、自分でやってみないと分からない。弦も様々な部品も組み合わせ次第ということもあるので色々と経験がものを言う。
物欲に任せて、色んな部品を試したりして行くと、ほぼ、多くの人の評価は、音が大きく響くようになった、と言う所に落ち着く。しかし、それは単純によいことなのか、疑問だ。例えば、弦をきつく抑えたら音の輪郭がハッキリする、が、硬い音にもなる、それが求める音ならよいが、そうではないのなら、少し緩めたり、接触面積を広げたりする。ただただ、強く大きく明瞭な音だけを求めるわけではないだろうし、その楽器の特性や弾き手の好みが大きく反映される。だから、音が大きく豊かになるのは良いが、極端な話、やかましくギャンギャン騒いでこちらのコントロールが利かないと言うことでは本末転倒だ。だから、細かな調整が必要になる。
このハープ型のテールピースでは、駒とテールピースの距離は、その上との比が6体1である事が望ましいと言う理屈とは合わなくなる。これについてはどうなのだろう。私は分かってないから元々気にしていないが、理屈は理屈だ。でも、そんな問題よりウルフが軽減され低音が弾きやすくなるメリットのほうが遙かに大きいだろう。
このテールピースは、私がいつも利用している、自身もアマチュアチェリストであるCello2Go ここで購入できる。このショップは疑問があれば下手くそなインチキ英語でも丁寧に答えてくれるし取引は大丈夫(^_^) とはいえ、送料込みで4万円は高いなぁ・・今年は色々物入りだったし・・(だったら京都なんか行くな)
似たものは他にも色々とある。ターミネーターみたいなゴツゴツ骸骨の手のようなのもあるし、重い木製のものは安く出回っている。この傾斜が極端で低弦にロング弦が必要なものもある。これら全てを試すわけには行かないので、重いモノとデザインがなんだかなのを除いていくとこれがまぁまぁか、と言うわけ。
ま、作る方も商売だから、次々と新製品を出し、購買欲を駆り立てなければならないのが、資本主義の世界。防波堤をどこに作るか・・作っても作っても猛威には勝てない・・か
チェロを弾いていて悩みがあるとすれば、ウルフトーンの存在だ。ウルフキラーは様々に開発され、また個々で工夫しているものだろう。消しゴムを挟むのから、バイオリンの磁石式ミュートを挟む、金属をぶら下げるとか何とか数限りない、果ては楽器の表板に板を張り付けるとか、逆にウルフには特別のことがない限り響きを優先して目をつむるという人もいる、このハープ型のテールピースのウリは、ウルフが消えるかもしくは減少する、というものだ。さらに、低音が豊かに強くなる、と言う。もし、本当にそうなら、ウルフキラーなんてものを弦にぶら下げるという無様な事を止められる。音がよくなる改良より、致命的欠陥が改善される方がより演奏が楽しくなることだ。だから、強い誘惑(^^;)
と言うわけで、Cellos2goに 大きさと重さを問い合わせ中(^_^)
また、Frirszのサイトでは、廉価版も開発中と書いてあったので、MLに登録して最新ニュースを送ってもらうことに・・(その気か・・)
コメント